「……いつから、ですか」 ページ43
「……いつから、ですか」
出てきた声はかすれて消えそうで、思わず耳を塞ぎたくなかった。
知りたくなかった、自分がこんなに弱かったなんて。
知りたくなかった、何もかも――……
「……お前が捨てられた時から、徐々にそれは頭角を現していた」
……捨てられた時。
そうだ私は、両親から捨てられたことが信じられなくて……
でも、それがなぜか必要以上に私の苦しみになることはなかった。
「捨てられた事実を受け入れられなかったお前は、今まで溜まっていたマイナスな感情すべてをまとめて縛り上げ、心から押しやった」
そんなはずはない。
そんなこと、私が出来るはずがない。
有り得ない有り得ない信じられない。
だけど勝手に納得している私がいる。
「そして、徐々にその切り離した記憶と感情が成長して、お前の言うスノーレディが産まれた」
瞳から零れ落ちた涙が床をぬらしていく。
どんどん色を濃くしていく床を見つめながら、私は力なく床に座り込んだ。
ただ、壊れた人形のようにそこに座り込む私に誰もが声をかけてくれない。
震える口を開いて、言葉を紡いだ。
「……嘘、ですよね……」
答えはわかり切っているというのにいまだに希望を抱く。
その希望さえもうぐしゃぐしゃにされた紙くずのように、ごみ箱に捨ててしまったはずなのに。
きつく握りしめた手には、痛々しい爪痕が残っていた。
「……じゃあ問うが、お前は自分の親のことを思い出せるか?」
「……え?」
そんなの当り前だ。
生みの親で、物心がついたあとも暫くは面倒を見てくれた。
捨てられるまで暫く時間があったのだから、もちろん覚えている。
だから、早く思い出して。
思い出せないことは、クロス師匠の言ったことへの肯定を意味するから。
だから早く思い出せ。
――……どうして。
「どうして……思い出せないんですか」
両手に顔を埋めクロス師匠に尋ねる。
温かい滴が溢れていくように、手のひらを滑り落ちていく。
こんな惨めな自分を、知りたくなかったし見られたくなかった。
今すぐ消えてしまいたい。
今すぐ消してほしい。
この場から。
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年5月18日 18時