「いい憶測だが、外れだ」 ページ41
「で？」
「……へ？」
クロス師匠に先を催促されて、私は視線を泳がせる。
これ以上何を言えばいいのか分からなくて、頭が空っぽなままだ。
何を言わなきゃいけないんだったっけ。
私は、何を――……
「それで終わりなら、俺が真相を話すが」
その言葉に、はっと顔をあげる。
聞き間違いでなければ、クロス師匠は「真相」と言った。
この場で誰もがの視線が、クロス師匠に集まる。
恐らく大元帥の視線ももれなく、だ。
気が遠くなりそうなほど長い沈黙が訪れながらも、クロス師匠は平然そうに新しく煙草に火を点けた。
「……お前の推測を、話してみろ」
「私の、推……測……？」
言われている言葉が理解できなくて、私は眉根を寄せる。
ドクドクと体の中から嫌な音が聞こえて、思わず私は心臓あたりを握りしめた。
どうしてだろう、私はまだ一度もスノーレディの声を……耳にしていない。
嫌な予感がして、私は唇をかみしめる。
「……考えたんだろうが。 なんでテメーだけのイノセンスが喋るのかを」
「ッ……」
そうだ。
私はたくさん考えた。
今でもしっかりと覚えている。
毎夜毎夜、ベッドの中で転がりながら頭を抱えた。
時に恐怖で、涙を流した。
だけどそれは――……
「私のシンクロ率が低い……から、じゃないん……ですか？」
恐る恐る師匠に尋ねれば、彼は何も答えない。
ただいつものようなあの吸い込まれそうな瞳でこっちを見つめてくるだけだ。
その視線に居心地が悪くなり、私は慌てて視線を外し床を見下ろす。
そして何度か口を開閉させてから、再び言葉を紡ぎ始めた。
「……私の想像、では……あまりにもイノセンスのシンクロ率が低い時間が長かったから……どんどんイノセンスが私の中で分離して、自我を持ったのじゃないかって……」
「……成程な」
結構自信満々に思いついた答えだけど、これが間違いだったら本当に恥ずかしい……
だなんて、こんな時に考えてしまう自分も自分だと思う。
手に汗を握りながら、私はクロス師匠の次の言葉を待った。
「いい憶測だが、外れだ」
冷静に告げられた言葉。
私は弾かれたようにクロス師匠の顔を凝視する。
まるでこの世界にはクロス師匠と私しかいないように、彼の言葉がどんな声とどんな音よりも鮮明に聞こえた。
「お前が答えにたどり着けねぇのも無理はねぇ」
ゆっくりとクロス師匠の口元から煙が吐き出される。
それがもどかしくて、だけど答えが聞きたくてたまらなくて、私は焦燥にかられた。
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
