「私、さっきまで……どうしてた？」 ページ39
ゆっくりと宙にあった足を、階段をのぼるようにゆっくりと下ろす。
そんなはずはないと思いながらも、心のどこかで期待していた。
もし、できたら……できたならば。
煩い鼓動を無視するよう努めながらも、私は目をさらにきつく閉じた。
ゆっくりと足が下ろされる。
ゆっくり、ゆっくり……空間を踏みしめるように。
コツ、という音と僅かな衝動。
「……っ！」
目を見開き慌てて足元を見る。
ぶわりと嬉しさがこみあげてきて、体中に広がっていく。
じわじわと指先にまで侵食してきた高揚感に、思わず笑みがこぼれる。
今まで手ごたえがなかったから感じられずにいた。
私は今きっと、何倍も強くなっている。
そう、確証もなしに思えた。
もう片方の足も、宙へ差し出す。
すぐにそこに、氷でできた板が浮かび上がる。
そこへ戸惑いもなく足をおろし、ただただ次から次へと氷を生み出してその上を歩く。
高いところへの恐怖も忘れて、ただ嬉しさに身を任せ一心に歩き続けた。
ついにエレベーターにたどり着き、私は手すりを越えて地面に着く。
そして、満面の笑みを浮かべてクロス師匠を見た。
「く、クロス師匠、私……！」
「あー、そうだな。 強くなったな」
味気ない賛辞だけどそれが何よりも嬉しくて。
嬉しさを噛みしめるように私はただただ笑みを浮かべつづけた。
強くなれた、強くなれた、強くなれた！
きっとシンクロ率でも上がったのだろうか。
今までできなかったことが出来ることが、こんなに嬉しいとは思わなかった。
「っつか、それよりも先に解決すべきことがあるだろ」
「ぇ……あ」
あまりに嬉しくて忘れていた。
一気に嬉しさが急降下して、頭の中が急激に冷める。
今まで夢の世界にいたような気分で、なんとなく名残惜しいけどそんなこと言ってられない。
それよりも重要なことがある。
「……ラビ」
「な、なんさ？」
「私、さっきまで……どうしてた？」
その問いに、ラビは分かり易いほど動揺した。
口を噤み俯く。そんな彼を、私はあまり見たくない。
「……やっぱり、あれはお前じゃなかったんさ？」
その問いには答えず、私はただラビを見つめた。
その視線に耐えられなかったのか、ラビはゆるりと視線を外す。
「……君は唐突に君らしくない笑みを浮かべて、一気にエレベーターから上階まで飛んだ」
「っ」
普段の私にそんなことが出来るはずがない。
第一私にそんな跳躍力はないし、どこからそんな力が湧いて出たのかも見当もつかない。
私、じゃない。
「……それは私であり、私じゃない」→←「いいからやれ馬鹿弟子」
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
