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「いいからやれ馬鹿弟子」 ページ38

少し歩いて、私達はようやくヘブラスカの間にたどり着くことが出来た。
目の前にはヘブラスカと、……そしてエレベーターに乗ったままのみんな。
コムイさん、リーバーさん、……ラビも、みんな困惑と怯えの表情を交えたような顔をしている。
そしてそれは、私に向けられていた。

ただ一人、ブックマンだけは静かに私を見据えていた。

「く、クロス元帥!」

驚きにコムイさんは声を張り上げる。
それに対し、クロス師匠は面倒くさそうに髪を掻きながら舌打ちをした。
そういえば師匠、教団嫌いなんだっけ。

「そこにいるの、Aさ!正気に戻ったんか!?」

そう乗り出すラビに問われ、私は少しだけ戸惑う。
だけど隣からクロス師匠の視線を感じて、何も言わずにはいられなかった。
しょうがないからピースサインを突き出し、なけなしの勇気で笑ってみる。

そうすれば、ラビは安心したようにへなへなと床に座りこんでしまった。
それを見て、どうしようもなく罪悪感が湧く。
でも、反省は後だ。
今は、師匠に……

「行くぞ」

そう一言だけ告げ、私が振り返りその意味を問う前に、師匠はそこから消えてしまった。
慌てて振り返れば、向こう側のエレベーターにひとっ跳びで飛んでいた。
流石師匠としか言えない。
流石師匠すぎる。

流石師匠、弟子に容赦ない。

その隙についてきていたアレン君も、いとも容易くエレベーターに飛んでいく。
あぁ、違いました弟子に容赦ないんじゃなくて私に容赦ない。

「すみません、凡人の私にはそんな運動神経ないです」
「あー?飛べ」

んな無茶な。
師匠は私の実力を知っているのだろうか。
いや、私の師匠をやってきたのだから私よりも知っているはずだ。
……なのに。

「足に意識を集中させろ。 足場を作るイメージで」
「はい?私、手で触れたところにしか氷生み出せないんですけど」
「いいからやれ馬鹿弟子」

バカバカバカバカと。
イライラしてきた私は、どうにでもなれと投げやりに手すりを乗り越えた。
片足を踏み出すが、床場がないせいでぞくぞくと恐怖が指先から上ってくる。
もういやだもう帰りたい。

今更登場してきた高所恐怖症に、私はふるい落とされないようにきつく唇をかむ。
そして足先に意識を集中させた。

手で氷を作るのと同じように……イメージ。
氷の階段、を……

出来るわけないと半信半疑で目を瞑る。
どうせ無理だと思いながら期待せずにはいられなかった。
少しずつ冷気を感じ始める。
まさか、としか言えなかった。

「私、さっきまで……どうしてた?」→←「……わかりました。 先を急ぎましょう」



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作品ジャンル:アニメ
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年5月18日 18時

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