「こいつのイノセンスの秘密を暴く」 ページ36
やがて氷がすべて溶けて消えた後も、畏怖の表情は消えなかった。
誰もが私を怯えた目で見つめ、私は縮こまりながらクロス師匠のあとを歩く。
私に比べ随分と堂々としたクロス師匠は、煙草の煙を吐き出しながら一直線に歩く。
「……あの、クロス……師匠」
「あぁ？話は後だって言っただろうが」
面倒くさそうに髪を掻き上げる師匠は、だけど私を振り返らない。
それが師匠なりの拒絶を表しているようで、私の胸はずきんと痛む。
それでも、と私は尋ねる。
「……死傷者は、……出ましたか？」
「……確認中だ」
思わず口元に手を抑える。
吐き気がした。
吐き気よりも何よりも、自分に嫌気がさした。
事態が全く理解できない。
何が起きたのか、どうしてこんなことになったのか、全く理解できない。
それでも、私は自分が教団に害意を為したのだと……それだけが、何よりも鮮明に理解できた。
私はどうされるのだろうか。
殺されるのだろうか？
殺されたとしてもきっと文句は言えない。
だって、それだけのことをしたのだから。
勝手に震えだした手を押し込める。
恐怖を抑えつけ、表に出ないようにと心に言いつける。
私が恐怖を感じていいはずがない。
恐怖を感じるべきなのは、私に敵意を向けられた教団のみんなだ。
「……師匠！」
知っている声がする。
アレン君だ。
……そうか、アレン君もクロス師匠が……
私と違ってよく出来た弟子。
私と違って、強くて格好良くて……優しくて、紳士で、どれだけ取り柄があれば済むのだろう。
私と、違って……
「何故こちらに……」
「撃つぞ馬鹿弟子。 邪魔だ」
「んなっ……って、A？」
びくりと体が震える。
名前を呼ばれても顔をあげられず、私は俯いたままアレン君の足元を見た。
そんな私を見て、アレン君もこれ以上は何も言わなかった。
きっとすぐに理解したのだろう。
……今、私がおかれている状況を。
「師匠、Aをどうするんですか？」
「あー？んなの教団に聞け教団に。 俺が決めることじゃねぇ」
「じゃあなんで師匠がここにいるんですか」
師匠が大きく舌打ちをする。
その舌打ちにも体を震わせてしまい、自分の弱さに自分が嫌になる。
思わず泣きそうになって、ギリギリ涙をこらえた。
私に泣く資格はない。
「こいつのイノセンスの秘密を暴く」
目を見開く。
師匠が言った言葉と、私が予想した言葉は全く違った。
それと同時に、私は師匠の言った言葉が理解できない。
……私のイノセンスの、秘密……？
「……わかりました。 先を急ぎましょう」→←「……私が、やったん……ですよね……？」
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
