「……私が、やったん……ですよね……？」 ページ35
目の前のクロス師匠は、私を見ると少し驚いたように目を見開いた後、深いため息をついた。
そんなことをされても私は到底理解できない。
というか何を理解しろというのだ。
「く、クロス師匠！何故こちらに……」
私に言葉はそこで唐突に途切れた。
がちり、という音に目を向ければクロス師匠の愛用の銃、断罪者(ジャッジメント)が構えられていた。
……それも、焦点は今まで私に……間違いなく、向けられていた。
「……師匠？」
掠れた声でそう呼べば、師匠が面倒くさそうにその長いワインレッドの髪を掻いた。
そして口に咥えている煙草をきつく噛みこみ、銃をしまう。
「弟子の不始末は師匠の責任だ……馬鹿弟子」
そう冷静に告げられた言葉に、私は頭が空っぽになる。
……不始末？
一体何のことだろうか。
私は今まで白い世界に閉じ込められていて……ようやくここに帰ってこれたというのに。
色も、景色も、匂いも、温かさもある、ところ……に……
「……え？」
掠れた声は、今にも消え入りそうだった。
周りを見渡してようやく気付いた。
……これは、どういう状況……？
いつの間にか私はもう、ヘブラスカの間にはいなかった。
……それどころか、私は……
氷の建物の、ど真ん中に突っ立っていたのだ。
「……し、しょ……ここ、どこです……か？」
縋るようにそう尋ねる。
周りには、幾多もの怯えた顔が私を見つめていた。
……武器が、私に構えられていた。
師匠はゆっくりと目を瞑り、味わうように煙草の煙を吐いた。
そうして、再びゆっくりとそれを咥え、告げた。
「黒の教団だ」
全てが溶けて消えるような感覚がした。
冷たく固い氷岩の上に、私は膝をつく。
痛みなどとうに、どこかへ消えていた。
震える両手を見つめてみる。
……そこには、私が何年も憎み続けた……あの、紋が刻まれていた。
「……私が、やったん……ですよね……？」
消え入りそうな声でそう問う。
だけど答えはもう分かっていた。
この教団の中で、氷使いは私だけ。
そして氷柱がいくつも天井からのびる、こんなおどろおどろしい氷の王宮のような建物を作れるのも……
きっと、私だけだった。
私に戦意がないと分かったのか、いくつもの武器が戸惑うようにおろされた。
だけど私は地面の氷を見つめたまま、動けないでいた。
「まずは氷をすべて消せ。 話はそれからだ」
「…………、はい……」
私の手が触れたところから溶けて消える氷は
まるで私の心を表しているようだった。
「こいつのイノセンスの秘密を暴く」→←「――クロス、師匠……」
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
