「馬鹿な人たち」 ページ32
……体中の疼くような痛みの中、「私」は目覚めた。
周りには見慣れない顔達が、心配の眼差しで私を見ている。
冷たくて固い石造りのような床の上で寝かせられているせいで、背中の至る所が痛い。
少し動けば、背中の骨がさらに深く床に押し付けられ痛みを生んだ。
「……っち……」
小さく舌打ちをすれば、赤髪の男が話しかけてくる。
……彼の名は、確かラビ。
私の中で、一番深くその名を刻んでいる男……
「A！平気なんさ！？」
「……ラビ、」
私が彼の名を呼べば、安心したような顔で笑みを浮かべる。
他にも、コムイという黒髪の男が私の顔を心配そうに覗きこんでくる。
「……無事、イノセンスを入れることに成功したようだね……」
はぁ、と小さく息をついてコムイは胸を撫で下ろす。
それを、私は言葉を発することなく見つめていた。
唇は深く結ばれていて、声を発することはない。
あまりにも静かな私のことを心配になったのか、ラビは眉根を寄せ再び私の名を呼ぶ。
そう、私の名を。
「……A？」
＜……イノセンスが……＞
だがそんなラビに返事をする間もなく、上から声が降ってきた。
振り返れば、そこにいたのは聖女。
客観的に見ても美しく神々しいともいえるその彼女は、ただ私の背後にいた。
その場所に縫い付けられたりでもされてるのだろうか、そこから動く様子を見せない。
そんなヘブラスカ、という聖女はただ、私を見下ろしていた。
＜イノセンスの……シンクロ率……が、上昇……している……＞
その言葉に、誰もが歓声をあげた。
喜びに誰もが笑みを浮かべ、私に話しかけてくる。
……だけど私は、まるでテレビでも見ているかのように動かされることはなかった。
じっとただ、表情を少しも動かさず、周りの様子を観察している。
あたりを見回し、出来うる限りの状況把握をした。
……最初に私の異変に気付いたのは、やはりラビだった。
笑みは自然と失せ、不思議そうな顔で私を見つめる。
……綺麗なペリドットの色。
眼帯で隠されているもう一つの瞳には、どんな色が隠されているのだろう。
覗きたくて、思わず手を伸ばした。
だけどその手は、ラビに避けられ宙を掻く。
「……」
避けられたことに不満を感じ、その不満を包み隠さず表情に出す。
心配そうな、ラビの声が聞こえた。
「……A……？」
「AAってうるさいわね」
そこにいた誰もが目を見開く。
面白くて、自然と笑った。
「馬鹿な人たち」
「……じゃあどうすればいいのさ」→←「……もう、何なの……」
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
