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取り戻してやる。 ページ28

「……これ、どうすればいいんですか?」
<……私がこのイノセンスを……お前の……なかに、入れる……」

無理矢理押し入れる感じだろうか。
何だか不思議だな、どんな感じなんだろう。
痛いのかな、苦しいのかな、……とりあえず死ぬかもしれないことはよくわかった。

「ラビ、ブックマン、下がっていて」

コムイさんの指示が走る。
それに逆らわず、二人は数歩後ろに下がる。
それと同時にコムイたちも、私から離れていく。

それを横目で見てから、私は視線をヘブラスカに戻す。
彼女は何も言わない。
まるで、迷っているようだ。

<……本当に……いいのか……>
「はい。 覚悟は決まっていますから」

その言葉とともに笑みを携える。
少しでも、私の覚悟と気持ちが伝わればいいな、と思いながら。

<……では、入れる……ぞ>

ヘブラスカの触手が私の体に纏わりつく。
体から力を抜き、触手に身を委ねるようにすればゆっくりと体が浮いた。

ヘブラスカとの距離が近くなる。
触手に包まれるようにして、私の体は身動きが出来なくされる。
両腕と両足をしっかりと拘束され、それは並大抵の力では外れなさそうだった。

少しずつ、イノセンスを持った触手が近づいてくる。

――……入れられる感覚ってどんなのなんだろう?
やっぱり無理矢理入れるのだから、苦しいのだろうか。
拒否反応なんて起きたら私は咎落ちになるのだろうな。
その時は、仲間の手で私は葬られるんだ……

自然と手が汗ばみ、私はその汗を握りしめた。
恐怖をおくびに出さないように、知られないように
せめて笑顔のままで、散れるように。

そっと視線を横にずらす。
そこには心配そうな顔をしたラビがいた。
もう今は遠くて、細部は見えないけど……緊張で固まったその拳を、優しく解いてやりたいと思った。

大丈夫、と言い聞かせるように笑みを浮かべた。
その笑みに気付いたかどうかは分からない。

痛いほどの視線を感じた。
皆に見られながら、私は死ぬ。

ふと、コムイさんの顔を見る。
……すごく青ざめた顔。

「……前にも、こんな実験があったんですよね」
<……あぁ>

ふと零れ出た質問に、ヘブラスカは答える。
そうか、ならばコムイさんは……

そう気づいたとたんに、私は心の底から笑みを取り戻した。
そんな私の心の変化に気付いたのか、ヘブラスカの触手が少しだけ揺らいだ。

心配する必要はない。
だって私は死ぬことはない。
絶対に、生きてイノセンスを――……

取り戻してやる。

……私は、私……?→←「出来ることならすべて、やる」



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作品ジャンル:アニメ
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年5月18日 18時

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