まだ、追いつかない。 ページ26
＜……そういうと、思っていた＞
抑揚のないヘブラスカの声。
それは機械越しのそれによく似ていたけど……だけど、どこか悲しそうに響いた。
「……なんで……死ぬかもしれねぇんだぞ！？」
「いづっ……」
ブックマンさんを振り切って、ラビが私のもとへ走り寄る。
力強く肩を掴まれ、あまりの激痛に思わず悲鳴をあげた。
そこは、例の撃たれたところだ。
「……だからお前は痛がれ！」
「それリナリーちゃんたちにも言われた！」
じくじくと痛む肩を抑えながらラビと同じ声量で叫ぶ。
また傷が開いたのか、白かったはずのシャツが血に濡れていく。
なんだか、すごく不思議な感覚だ。
まるで肩をぬるま湯に浸けているような、じんわり温かさが広がっていく感触。
「でも……ね、ラビは知ってた？」
ぽつりと零す。
自然と手に力が入り、行き場のない力はきつく握りしめることで解消する。
少しだけ、自分が情けなくて俯いた。
「今朝……ラビがイノセンスを使っていた時……の、私の気持ち」
「……？」
顔をあげてラビを見据える。
不思議そうな顔のラビが、そこに立っていた。
「……妬ましいほどに、羨ましかった。 ラビだけじゃない、神田さんや他のエクソシストみんな……いつイノセンスに見限られるかなんて心配も抱かずに、戦える。 今手元にイノセンスがあって、それを好きに扱えて、それでいて強くて、格好良くて、器量もよくて……」
何かを見るたび自分と比べてた。
自分がどんどん惨めになっていく様を、想像したくなくてかぶりを何度振っただろう。
そのたびに泣きそうになったことを、私は絶対に忘れはしない。
「皆に追いつきたい。 でもいつだって先を歩いている皆に走っても走っても追いつかない。 私の歩幅じゃ、皆の歩幅には追いつかない」
焦り、怒り、憤り、悲しみ、孤独――……
皆は自然に笑っている。私も笑っているはずなのに、どこか違った。
まるで皆は兄や姉で、自分は末っ子の妹で……どう頑張っても年の差は埋められないのと、同じくらい
皆とはそこまで年齢も違わないはずなのに、こんなにも違いが生まれる。
経験の差？出来の違い？
じゃあ、私はどうすればいい？
「……どんな特訓だって進んでやった。 身につけられるならどんな力だって身につけた。 クロス師匠の痛みを感じなくなる特訓だって……」
毎夜毎夜、焼けるように痛む体に涙を零した。
体中を走る傷跡を見て、涙した。
全然駄目だ、と言われた時も涙した。
まだ、追いつかない。
「出来ることならすべて、やる」→←「イノセンスがなければ、私は生きてはいけないんです」
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
