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「ついてきて」 ページ23

途中の記憶は覚えていない。
覚えているのは、カイトが発射5秒で気を失ったことだけだ。
つまりきっと、そのあと私も後を追うように気を失ったんだろう。

目覚めたとき、私達は教団に着いていた。
ボロボロの瓦礫にボロボロの私達。
思いっきり壁に衝突したんだろうということだけはわかった。

「……小僧ッ」

あと目の前のパンダおじいさんは怒っていることもよくわかった。

「そこに直れ!」
「あ、ジジィ久しぶりさ!」

やり取りに慣れているらしいラビとブックマンさん。
やっぱり、こんな方法で教団に帰還したのは一度や二度じゃないらしい。

「お前は何度言えば分かるのだこの馬鹿兎が!」
「いいじゃんかよー、それ以外に方法見つからなかったんさ」
「徒歩で帰れ!」

うわぁブックマンさん、すごい口悪い。
恐らくラビにだけこんな性格なんだろうが……。
うーん、と考え込んでからふとカイトのことを思い出す。
慌てて起き上がれば、腕の中にしっかりとカイトは眠っていた。……気絶してるんだと思うけど。

「……その子供は?」
「ブックマンさん……あ、いや、その……汽車の中の唯一の生き残り、です」
「……成程」

そういうだけ言って、ブックマンは背を向ける。
そして瓦礫と化した部屋の扉と思しきものに、目を向けた。

「ラビ、記録しておけ」
「ん?」

頬についた埃や髪についた瓦礫を払いながら、ラビは首を傾げる。
だけどブックマンはもう何も言わず、ただ扉のほうをじっと見つめていた。

しばらくすれば、バタバタと誰かの走る音がした。
そしてその音の持ち主は間違いなくこちらに向かってくる。
カイトを膝の上に抱えたままそちらを見れば、慌てた様子のコムイさんが扉の陰から現れた。

「コムイさん!」
「……ラビ、またあの方法で帰ってきたんだ……」
「修理すんのにどれくらいかかると……」

あとに続くリーバーさんも、頭を抱え唸った。
この部屋もともとは何の部屋だか知らないけど、どうにも見たことない部屋だ。
教団は広いからいまだに行ったことない場所も何か所かあるけど、とりあえずここはそのうちの一部屋らしい。

「Aちゃん!帰ってきたんだね」
「はい、ただいまです」
「お帰り。 任務は失敗に終わっちゃったけど、いろいろあって疲れただろうからゆっくり休んできて……なんて、言えない事態なんだよね」
「……?」

一気に声音が真剣になったコムイさん。
首を傾げながら彼を見つめれば、数度迷った後私に言った。

「ついてきて」

「……あれが、共鳴……?」→←「……ラビ、まさか」



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作品ジャンル:アニメ
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年5月18日 18時

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