「一緒に行こう？」 ページ21
「……それ、本当なんさ？」
『うん。 とりあえず汽車もおじゃんになっちゃったんだよね？一時帰還してくれる？』
「りょーかい。 んじゃあ準備ができ次第すぐ戻るさ」
『わかった』
ぷつりと通信が切れると同時に、ラビが背を向けていた扉が開く。
その中から出てきた二人の人影を見て、ラビはどこか安堵したような笑みを浮かべた。
「……出てこれたんさな」
「ん」
私の腰に縋り付くような姿勢で、いまだに涙目のその子は不安そうな目でラビを見つめた。
そんな彼の頭をそっと撫でながら、私はラビを見やる。
「で、私達は教団に戻るの？」
「あぁ、コムイから帰還命令が出た」
「じゃあこの子、どうすればいいのかな？」
そう尋ねながら見やれば、不安そうな双眼と目が合う。
どうしてもこの子を放っておけそうにはなかった。
慰めたのが私だからか、どうにも責任感らしきものが芽生えた気がする。
あと母性本能。
「んー……普通に考えて施設送りになるんだろうけどなぁ……」
「……やだ」
ぎゅ、と私の服の裾を掴むこの子はひょっとしたら天使の遣いか何かじゃないだろうか。
涙目でそんなおねだりとか、甘やかしたくなる。
男の子のくせに！男の子のくせに！
「と、とりあえずはいったんこの子連れて教団に帰ろ？それから室長の指示を仰ぐなりなんなり……」
「そうだな。 んじゃあ荷物もって出るぞ」
「はーい。 ね、君のお名前は？」
「……カイト」
カイト。
随分とアジア系の名前だ。
神田さんと同じ類の人かな？黒髪だし。
「そっか。 カイト、今から私たちのホームに帰るの。 一緒に行こう？」
「……お姉ちゃんとずっといられる？」
……あちゃー。
此処まで懐かれると、もしいざ施設行きってときにこっちが辛くなる。
一種の刷り込みだろうか。
生まれたばかりのヒヨコが何でも動くものを親と認識するように、この子も幼すぎるがゆえに突如親を失った大きすぎるショックを、代わりに自分に優しくしてくれる存在で埋めようとしているのだろうか。
そういう精神状態を、どこかで読んだことがある。
「まだはっきりとはわからない。 だから今はね、カイトの持っていきたいものまとめて？」
「……なんでも、持ってっていいの？」
「……うん、そうだね？」
カイトはちらりと部屋の中の荷物を見やる。
そこには明らかにカイトの分だけではない、およそ三人分の荷物が置かれていた。
親の形見でも、持って帰るつもりだろうか。
その小さな頭を、そっと撫でた。
「……ラビ、まさか」→←「……君のパパママは、いい人だったんだね」
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∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
