「……いなくなっちゃうの？」 ページ3
「……そっか。 それ聞いたらなんか安心したさ」
「ラビは？もしエクソシストじゃなくなったら、何かしたいことがあるの？」
何気なく聞いた質問だった。
だけどその質問にラビが答えるのには、数分もかかってしまった。
あまりにも長い沈黙だったから、戸惑いつつも彼の名前を呼んだ。
だが返ってきたのは、彼のベッドのスプリングが鳴る音だった。
瞬時に聞いてはいけない質問だったと悟る。
だが今更もう取り返せないことだった。
「聞いてごめんね」なんて言葉は、さらに悪化させることは自分でもよく分かってきた。
さらに数分の長い時間が流れる。
気まずさは、刻一刻と増していくばかりだった。
やがて、ラビの口から言葉が漏れた。
「エクソシストは、俺の本職じゃないさ」
「……え？」
思わず尋ね返してから、もう一度思い出す。
そうだった、彼の本職はブックマンだった。
再びラビの中の深淵を覗いてしまったような、そんな後悔の塊。
それと同時に恐怖と、戸惑いと、混乱と混沌。
そんな複数の感情がせめぎ合っているような気がした。
「俺の本職はブックマン……エクソシストも、それの一環なだけだ」
「……それって」
「これが終われば……時が来れば、俺らはエクソシストを去らなきゃなんねぇ」
ドクリと自分の中の鼓動が聞こえた。
それと同時に、頭の中が真っ白に塗られていくような気がした。
まだエクソシストに……いや、教団に来てから1ヵ月。
それだけの期間なのに、これだけ大きくなっていた彼の存在。
「……いなくなっちゃうの？」
漏れた声は、掠れて震えていた。
これでは動揺が知られてしまうと口を瞑んだが、もう手遅れだ。
「……時が来れば、な」
「それって……いつ、なの？」
「さぁな。 ひょっとしたらすぐかもしれねぇし、俺がジジィくらいになるまで終わらねぇかも。 でも、来るってことだけは確かだ」
いつかは絶対去らねばいけない人。
ふとなんだが無性に寂しくなって、私は頭の下に敷いていた枕を抱きしめた。
だけどすぐにそれをもとの位置に戻し、頭をぶつけないよう気を付けて起き上がり、足元に置かれたものを持ち上げた。
そしてその柔らかい感触に、先ほどのように抱きしめて顔を埋める。
ラビがくれた、人形だった。
「……私って本当、ラビのこと何も知らないんだね」
「ははっ、まぁ俺らのことを知ってる人いは少ないさ」
「……ブックマン。 本……記録する者。 ラビの頭の中は、どれだけの情報が詰まってるのかな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます！もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ！と茶舞台ひっくり返したい思いです！ (2014年9月6日 12時) (
レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも！mo-taです。この作品すごく面白いと思います！！更新楽しみにしてます！ (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです！またコメくださって本当に嬉しいです！クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい（ (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(？)です！ク、クロちゃんが．．．クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(ﾟдﾟlll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…！ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年5月18日 18時
