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「……うん、お願い」 ページ18

ふと気づいたとき、この汽車はとっくに止まっていた。
寧ろ何故気付かなかったのだろう。
それだけ戦闘に夢中だったのかな?

部屋の窓へ歩み寄り、様子を見てみる。
そこには、錆び果てた、どう考えても今は使われていないであろう駅に止まっていた。

一般人やどっかのAKUMAがこんな都合良く寂れた駅を見つけられるわけがないし、
やはりブローカーは運転士だったのだろう。
私達がエクソシストだと気づいたのはいつからなのだろうか。

「とりあえず、コムイに連絡するさ」
「……うん、お願い」

ラビがゴーレムを使い通信の準備をしているのを傍目に、私はかつて人だったものを見つめた。
そういえば、私のゴーレムはまだ荷物の中で眠っているのだったっけ。
四六時中パタパタしていて疲れないのだろうかとなぜか心配してしまい、集中できずに電源をオフにしたのだ。

「……コムイ?」

通信越しに聞こえるコムイさんの声。
どこか焦っているみたいだったけど、あまりはっきりと言葉は聞こえない。
盗み聞きする趣味もないし、ただラビを冷静に見つめた。

「いや……俺らが乗ってた汽車丸々一本が、AKUMAに襲撃されたんさ」
『――――……っ!?』
「大丈夫さ。 俺らは無事だ。 ……けど、乗客が」

ぎゅぅ、と拳を握りしめる。
どうしてもこの感情を、やり過ごすことはできなかった。
私達のせいで、いくつもの命が奪われた。
……守れたかもしれない。夜の物音に、どうして私たちは起きなかったのだろう。

「……ん、わかったさ」

その拍子に、隣の部屋で物音が聞こえた。
二人してバッと起き上がり、隣の部屋に耳を澄ます。
……もう物音は聞こえなかった。

「……まさか、まだAKUMAが?」
「見に行くか。 悪い、コムイちょっと待ってくれ」

そう言い通信を保留にしたラビは、私とともに隣の部屋へ向かった。
引き戸を力強く、大きく引けばそれなりに大きい音が車内に響き渡る。

「ひッ……」

小さく響いた悲鳴。
私は確かに、その声に聞き覚えがあった。

「……昨日の……!」
「あぁ、間違いねぇさ。 おい、どこにいる?」
「私たちは君を傷つけたりしないから大丈夫!出ておいで」

それでもなかなか出てこない。
どうしようか、とラビと目配せをする。
ラビもどうやら子供の扱いに長けてるわけではないらしく、不安げにしていた。

「……お母さんたちに、隠れてろって言われたの?」

ふと零れた言葉に、彼はガタリと物音をたてた。

やっぱり、彼の両親も、もう――……。

「大丈夫だよ」→←「いつから私が寝ていると錯覚していた?」



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作品ジャンル:アニメ
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∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年5月18日 18時

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