「私は、エクソシストがいい」 ページ2
部屋に着くなり私はばふりとベッドに飛び込む。
ちょっとしたピリという痛みと柔らかい感触が私を包む。
「あー、お風呂入ったらすっきりしちゃった」
ちなみにお風呂場はおそらく部屋一つ一つについている。
そりゃあ完璧なホテルではないので簡易シャワーだが、9日間お風呂なしの缶詰じゃないあたり最高だ。
「かなり充実したなー……」
「ね。 やっぱりこの汽車、私が乗ってきたやつとは全然違うんだなぁ。 でも来たときの汽車の中も探検すればよかった」
「お前マジで来たときはずっと部屋に引きこもってたのか?」
「うん、面白い本を読むんだったら4時間くらいはぶっ続けで集中できるから、合間に食事をしてまた本を読んで……って繰り返した感じ」
ラビの悲鳴が聞こえる。
確かにラビは頭は良さそうだけれど、ぶっ続けで読書とか苦手そうなタイプだ。
やがてラビはベッドの梯子を使い上段ベッドにのぼり、そして腰を下ろした。
ぎしりと軋む音が、頭の上で聞こえる。
……このベッド、壊れたりしないよね。
不吉な考えを頭から消しながら、ごろりと寝転がる。
流石一等といったところか、柔らかすぎず硬すぎずちょうどいい弾力だ。
私たちの教団の医務室とは大違い。
しかも枕が低反発だし。この枕欲しかったんだよ!持ち帰りたい。
「……なぁ、A」
「ん、なぁに?」
まだ明かりがついているというのに、一日遊びつかれたのかうつらうつらとし始めていた。
その中、ラビの声が頭の中で響くように聞こえた。
重たい唇を開いて、返事をする。
「……お前、まだエクソシストに戻りたいか?」
その質問に、一気に意識が浮上する。
まるで夢の世界から帰ってきたかのように五感がまともになってきた。
頭の中で彼の質問を繰り返し、そして確かな答えを見つける。
「――うん」
私の答えに迷いなどなかった。
エクソシストになりたい。
一人ぼっちになったあの日から、ずっと願っていた私の夢。
「そっか」
ふ、とラビが笑うのが聞こえた。
私はもう一度寝返りをうち、今度は仰向けになる。
視線の先に、目の前のベッドの上にラビがいる。
だけど私にとってはそのベッドが透けて見えるように、ラビの存在を感じていた。
「どうしていきなりそんなことを聞くの?」
「んにゃ、ちょっと聞いてみただけさ。 お前、イノセンスなくてもいろんな才能があるだろ。 エクソシストじゃなくてもいいんじゃねーかって思って」
才能?
……才能、か。
「私は、エクソシストがいい」
「……いなくなっちゃうの?」→←「あ、まだデザート残ってるんだっけ」
38人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - mo-taさん» 面白いですかありがとうございます!もう4冊目なのでなんでこんな長引いてるんだよ!と茶舞台ひっくり返したい思いです! (2014年9月6日 12時) (レス) id: d6bef4f0e5 (このIDを非表示/違反報告)
mo-ta - どうも!mo-taです。この作品すごく面白いと思います!!更新楽しみにしてます! (2014年8月23日 6時) (レス) id: 58b0bd4753 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» お久しぶりです!またコメくださって本当に嬉しいです!クロちゃん格好良くしたいっていうかどんなキャラも格好良くしたい( (2014年8月11日 19時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
銀来(プロフ) - お久しぶり(?)です!ク、クロちゃんが...クロちゃんがカッコ良く見えましたΣ(゚д゚lll) (2014年8月11日 8時) (レス) id: 578c57ad6f (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@玉ねぎ@オニマス(プロフ) - 銀来さん» 大好きだなんて嬉しい言葉をありがとうございます。他の作品も御閲覧していただいてるなんて頭が上がりません…!ありがとうございます、頑張らせていただきますッ (2014年8月7日 15時) (レス) id: d4f6060cfe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年5月18日 18時