「ちょっと場所変えよっか」 ページ8
「A!!」
ヘブラスカとわかれて上に上がった途端、聞き知った声が耳に飛び込む。
振り返れば、それは一人だけじゃなかった。
「リナリーちゃん、アレン君、ミランダさん…」
三人とも慌てた表情で、必死に私のもとへ駆けてくる。
特にミランダさんなんて、普段運動してないからか息切れが酷い。
「大丈夫!?」
ぐわっと私の両肩を掴んで、リナリーちゃんは叫んだ。
それは問いかけよりかはどちらかというと「そうでなければ許さない」という声音を含んでいるようだった。
何はともあれ、今に始まったことではないがリナリーちゃんの握力って意外と強くて…
「いだだだだっ、リナリーちゃんそこ怪我してるとこ!!」
「そこ怪我してるとこ、じゃないよ!医務室から抜け出して!婦長すごい怒ってたのに…それに、イノセンスも失ったって…!」
「大丈夫なんですか、A!?」
二人に詰め寄られて、私は言葉を失う。
あ、でもなんだかこういうのすごい幸せ。
このやり取り、なんだかすごく、友達っていうか…仲間っていうか…そんな感じ?
嬉しくて嬉しくて、ショックで立ち直れないかもしれないと思っていた自分が自然と笑みを浮かばせていることに気付いた。
「ふふふっ…」
「な、何笑ってるんですか!」
「へへ…ごめん。なんか、こういうやり取りって願ってもなかったから。誰かが私をこんなに心配してくれるの、すごく嬉しくて…」
「…もう。」
それを聞いたリナリーも、少しばかり嬉しそうな顔をしていた。
相変わらず怒っているようだけど…それでも殺気は和らいだしね。
「あぁ、ラビも心配してましたよ。」
その名前にぴくりと反応した自分が不思議だ。
それでも「まぁ、任務優先なのでついさっき出かけてしまいましたけど」という言葉に私は小さく返事をした。
お礼を言わなきゃ。
多分私のイノセンスが消えた時、ラビのことを思い出さなかったら今頃私はトチ狂っていたかもしれない。
それほど、イノセンスを失ったことが私にとってショックで、恐怖だった。
「それで…イノセンスがどうのって…」
今まで黙っていたミランダさんが両手を胸元にやり、不安そうにおどおどしながら尋ねてきた。
その様子を見ると、かなり心配してくれていたようだ。
私が出てくるまでずっと慌てていたのか、額は汗ぐっしょりだ。
私はハンカチを渡してやり、三人に向かって苦笑した。
「結構複雑で、話せば長くなるんだけど…」
そう前置きしてから、
「ちょっと場所変えよっか」
「私のイノセンスだけね、人の言葉をしゃべれるんだよ。」→←「ありがとう…ございます」
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時