「神田、さん」 ページ6
「…い」
ゆらゆら揺れる意識の中
私は誰かの声を聞いた。
低くて力強い声。
ここはどこ?
あたりを見回してみるけど、到底検討もつかなかった。
それ以上に不思議な感覚がして慌てて見下ろせば、案の定衣服なんて身に着けていなくて、慌てて蹲り自分の姿を隠した。
「…あははっ馬鹿じゃないの?」
…誰?
驚きに目を見開く。
蹲った格好のまま、信じられないと目を見開きながらゆっくりと顔をあげた。
私はその人を…知ってる。
だってそれは、聞き慣れたはずの私の声。
「…スノーレディ?」
真っ白な、死に装束を連想させる衣装を着た彼女が、そこに立っていた。
…そしてそれは、鏡のようであって。
髪の毛、前髪、瞳の色、大きさ、顔の形、鼻や口の場所、背の高さ…どれをとっても、私とうり二つ。
だけど、一目でわかった。
彼女は私のイノセンスだ。
「…どうして、いきなりいなくなったの?」
「まるで私がアンタの体の中にいなくちゃいけないみたいな言いぐさ」
「ッ…だけど、イノセンスは消えていないでしょう?現にあなたはここにいるし、私の手の文様も消えていない。」
「…アンタだって薄々気が付いてんじゃない。どうして私がいなくなったか。」
「…やっぱり、シンクロ率?」
私がそう尋ねれば、目の前の私の格好をしたスノーレディは、普段の私なら到底浮かべなさそうな表情を浮かべていた。
勝ち誇っているような、馬鹿にしたような、嘲り笑うような、そんな笑み。
「さぁね?」
「さぁねって…」
「それに、じきわた…は、き……わ…」
急にノイズが入ったかのように、スノーレディの声、基私の声が聞こえなくなる。
ぶつぶつと途切れるその声は、私を不安にさせた。
「え、何?聞こえないよッ――…」
「…そ…と……あ………」
「…い…おいっ…」
視界さえも、壊れたテレビのように砂嵐が走る。
まるで、私が壊れた世界に閉じ込められたよう。
だけど、スノーレディとは別に、誰かの声がした。
私はこの声を知っている。
誰だったっけ?力強くて、低い声…
…あ、
「神田、さん」
私は一気に現実に引き戻された。
目の前には、眉根を寄せた不機嫌そうな、いつもの顔の神田さん。
「テメェ…何のんきに寝てやがる…」
「え、違いま、ッ」
不機嫌そうな、ドスの利いた声は一気に私の目を覚ました。
それに慌てて言い訳をすれば、ズキンとアクマにやられた傷が痛む。
「とにかく、とっとと戻るぞ。」
「あ、はい!」
慌てて神田さんのあとを追った。
「ありがとう…ございます」→←「大丈夫さ!」って言ってくれる。
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時