「私の黒い過去は私が墓場まで持っていくんだ」 ページ40
「えっ…?」
「私も賭博で稼いだんだ」
「……えっ…?」
固まったまま何度も聞き返すラビに、私も笑顔で何度も繰り返す。
あの日々は本当に、辛かったなぁ。
「クロス師匠の借金癖は、本当に有り得ないよ」
「ま、まさか、女のAにも…!?」
「…あの人は私を女だと思ってないから。 寧ろ人だと思ってないだろうね」
私に人権なんてないさ、と窓を見つめ乾いた笑みを浮かべた。
毎日毎日アンダーグラウンドの世界で稼いで稼いで必死に借金を返して、それでも足りなくて謝って謝り倒して逃げて…
あの時代の私のプライドはズタズタだった。
「…まさか今でも…?」
「あの人の、私の名義の請求書を書籍化すれば、シリーズ化するだろうね」
「アレン第二弾さッ…」
「アレン君も苦労したんだなぁ…っ」
右手で顔を覆い、心底アレン君に同情する。
あ、やばい、涙が…。
「体を売った方が稼げるって気づいたのっていつからだっけ…」
「え、ちょっと待って、Aお前まさか…!」
「これ以上はブックマンにも教えないよ。 私の黒い過去は私が墓場まで持っていくんだ」
何それ超気になるさ…!と震えるラビに対し、私は心の中で舌を出す。
まぁ、体を売るって言ってもただの接待営業だけどね。
「とにかく、仕事の話だけど…今回は、イタリアに伝わる民話が関係しているらしいね」
「あ、あぁ、そうだな…」
「民話ってことは古代から?イノセンスってどれだけ昔から眠ってるの?」
「まぁ、随分昔まで遡るのは確かさ。 詳しくはジジィから聞いたほうが早ぇんじゃねぇのか?」
「説明するのが面倒なんだね」
「Aは俺の扱い方を習得するのが早いさ」
それは褒め言葉なのかな。
貶されてるのかと思っちゃったよ一瞬。
小さくため息をつきながらあらかた資料に目を通す。
初めての任務と同じくらいの、「それっぽい」話だ。
「今回も見つかると思う?」
「前回みたいにすんなりとは行かねぇと思うさ」
「私の初めての任務にしては印象でかい出来事だったなぁ…」
「そうか?」
ラビはもうすでに読み終えてしまったのか、資料を机で整えてから傍に放った。
恐らくブックマンらしく、内容はすべて記憶してしまったのだろう。
私は忘れっぽいから、頼もしいパートナーだ。
「でももうAKUMAに会っても戦闘できないのかぁ…」
「すぐにまた戦えるって、落ち込むな」
「落ち込むというか、エクソシストとしての血が騒ぐというか…」
自分の手を見つめる。
もう文様は、消えていた。
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時