「肉!」 ページ38
「んじゃあとにかく、食いもん買いに行くかッ!」
二人の間に漂っていた陰鬱なムードを吹き飛ばすように、ラビは明るく笑った。
それにつられて笑ってしまい、私は大声で「うんっ」と頷く。
「菓子だけじゃなくてちゃんと食うもん買わなきゃな。 汽車の中で食いもんって出るんさ?」
「そりゃあ出るよ。 でも9日間も汽車の中で缶詰だよ?9日間分の食料を客が用意できると思う?」
「案外できるんじゃね?途中で駅に泊まったりするだろ」
「するはするけど…」
なんとなく言いづらいな、と口ごもっているとラビが先を促す。
その無邪気な瞳が憎めない。本当に憎めない。
教団の中の人たちって、本当に憎めない人多いよなぁ。
「…途中の駅の店の食料だけじゃ、私の胃袋は膨れなくて…」
「…あぁ、大食いだもんな」
「大食いって言うな!寄生型の名残だもん!」
「もう普通の人には戻れないんじゃね?」
ラビが痛いところを面白がるように槍でつついてきて、私のHPはそろそろ底をつきそう。
もともとレッドゾーンだったというのに、回復の時間も与えてくれないのかこの人は。
とにかく食料を、という事実に承諾してくれたラビは、一緒に駅の最寄りのスーパーへ寄ることを同意してくれた。
そういうわけで、私たちの足はそのスーパーへと向かっていた。
「で、思ったけどAって好物とかあんの?」
「それまたなんでいきなり」
「いや、アレンだって同じレベルの大食いだろ?あいつにも好物あるし、お前にもあるかと思ったんさ」
「いやそりゃあ人間だしありますけど。 アレン君好物あったんだ、ちょっと気になる」
「みたらしだってさ」
「あれはおいしいよね!」
もちもちの柔らかく、でも柔らかすぎない白いフォルム。
しょっぱいような甘いような分からない、でも口の中に広がる優しい味。
あれを食べている間は、なんだか幸せな気持ちになれる。
「とはいっても、私は好物いっぱいありすぎてなぁ…強いて言うならラーメンかな」
「なんでラーメン!?ユウの進化系さ!?」
「ポ○モンじゃないんだから。 いやー、前にイタリアの日本料理店で食べたあの味が忘れられなくて」
「んじゃあラーメンでも買うさ。 あ、インスタントしかねーや」
そういってスーパーの中にたどり着き、真っ先にラーメンコーナーに向かうラビ。
何故初めてきたスーパーなのに迷わずに辿り着けたかが不思議である。
私はラーメンのパッケージを睨むラビに尋ねた。
「ちなみにラビの好物は?」
「肉!」
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時