【D.gray-man】 Sorry but Goodbye -Secondo-

そういえばヴァチカンってどういう意味だっけ ページ36

ぱたぱたとせわしなく私の周りを飛び交うコウモリ型の通信機を見ながら、私は船を漕いだ。
ちなみにこういう雑用は私たち探索部隊の仕事らしい。
散々クロス師匠に雑用をまかされてきたから、力仕事にはこれでもかというほど自信がある。

「こいつ、ゴーレムって言うんだぜ」
「ゴーレム？って泥人形...このコウモリ泥で出来てるの？」
「いや、違ぇけど...」

意志があるのか、時折忙しなく羽ばたいた後に私の周りを円を描くように飛び回る。
懐いてくれたようでとても嬉しい。
よく見れば、可愛いじゃないかこいつ。

「ラビも持ってるの？」
「あぁ、全員持ってるぜ」
「へー...」
「あ、悪ぃ嘘ついた、アレンは違ぇやつだ」
「え、アレン君が？」

唐突に彼の名前が出てきて、顔を上げた途端に「ガコン」という音と腕に響く衝撃。
どうやらオールが岩に引っかかってしまったみたいだ。
どんくせーとラビに笑われるから、とりあえず水面から引っかかってしまったオールを引っ張りだし、ラビの頭の上に直撃させた。

「いっで...！ほら、なんか金色の...」
「あ、ティムのこと？え、あの子ゴーレムだったの！？」
「今まで知らなかったんさ！？」

ずっと一種のペットだと思ってた...もりもり食べるし。
そういえば録音録画機能があるみたいな変なことクロス師匠が言ってた気がする。
当時はティムの足にカメラでもついてんのかと思ってたけど、そういうことだったんだ...

「うわー...そうだったんだ」
「知らなかったことが俺の一番の驚きさ。 あ、そろそろ着くぞ」
「了解」

小さい舟にラビと私が向かい合うように座っている上、ここに来るまでの間に舟が回転してしまったからなぜか私たちは今後ろ向きに進んでいる。
でもなぜかそっちの方が私にとってやりやすいようで、後ろ向きに進んだ方が前向きに進むより何倍も速かった。
というわけで、いちいち後ろを振り返らなきゃいけない私の代わりに、真っ直ぐ前を向いているラビが私に障害物などを知らせてくれている。

首をひねり後ろを見ながら慎重に舟を岩場につける。
少しだけ不安定になったが、思ったより舟漕ぎって楽でよかった。
杭に舟のロープをくくり付け、縛り固定してからラビに降りるように促す。

「うー...っし、ここから駅に向かうんだよな？」
「そうそう、そこから9日間の電車の旅へご招待〜」
「尻が痛くなりそうさ」
「どうせファーストクラスでしょヴァチカン様なんだから」

そういえばヴァチカンってどういう意味だっけ

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