【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ50)

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149話　二人の約束ページ50

白石「ボウタロウの野郎…ッ
盗っていきやがったッ
もう一欠片も残ってねえ！」

白石の絶叫が薄暗い井戸の中で響き渡り、呆気にとられたミツキはただそれを眺めた。

…

貴『……なんでここが…』

白石はミツキに井戸から引き上げられた後井戸の縁に腰掛けながら、どこか遠くを見るように月を見上げる。

白石「……まあ
盗ったのがボウタロウで良かったのかもしれねえ…
…今頃、どっかの島で国でも作ってるかもな…」

そう言う白石の声色と表情は脱力しきっており、魂が口から半分くらい抜けているように見えた。

貴『…っ』

言うべきか

ずっとこの六ヶ月間

機会を失っていたこと

貴『……白石さん…実は…』

白石「へ？」

ミツキの言葉に、白石は月に向けていた視線を彼女に移す。
彼女の袴の袖から、可愛い和柄の巾着袋が取出される。

貴『これ…一握りだけど…持ってきてたんです。
…受け取ってください』

白石「えッ」

ミツキはそう言い、袋を開けて中身を見せた。

白石「や……ヤッターーッッ…って、待て待てッ
受け取れるか！！」

白石は袋一杯の金塊に目を輝かせたが、ふと我に返り首を横に振った。

貴『貰ってください！
白石さんにお礼がしたくて私…ッ』

白石「……俺が持ってても碌なことに使わねえ。
それに、俺はこんな物をもらうために優しくしたり助けたわけじゃねえんだ」

白石はそう言い「…そうだ！」と手を打つ。

白石「前にさ、
"日南の海に俺も連れてって"って言ったでしょ？

…一緒に行こうぜ？」

"海は恋しいかも…また見れたらなぁ"

"日南の海、俺も連れてってネ！"

貴『…ッ』

いつかした懐かしい会話を思い出し、言葉が喉につっかえる。

「それが金塊の代わりね」と、白石は眉を下げて笑う。

貴『……そんなのでいいんですか…？』

ミツキが再度確認するも、彼は頷いた。

つくづく思う

この人のこういうところ

本当に狡いんだ

ひとり目頭を熱くしていると、白石は「あッ」と言葉を続ける。

白石「その代わりじゃないケド〜たまにいや出来れば毎日ご飯奢ってね〜〜？」

貴『…』

先程までの感動的な雰囲気を台無しにする彼の言葉にミツキは流しかけた涙を引っ込め、呆れたように溜息を吐いた。

貴『も〜…わかりましたよ』

そう言いクスリと笑みを溢し、ミツキは巾着袋をもう一度袖の中へと仕舞う。

白石「約束ね？」

貴『はいはい、約束です』

二人はそう言って笑い合い、月が照らす夜の中約束を交わした。