【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ49)

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148話　月隠ページ49

アシ「王になるには十分じゃないが、これで…
どうか諦めてくれ」

海賊「…」

海賊はアシパから受け取った煙草入れの中身を確認し、暫しそれを見つめ大きく溜息を吐いた。

海賊「……はぁ…わかった。
アシㇼパちゃんがそこまで言うなら、俺はもう何も言わねえよ」

アシ「ボウタロウ…」

貴『…』

意外にもすんなり引き下がった海賊に、なんとなく違和感を感じた。
こんな少量の砂金だけで、海賊はあの金塊を諦めるのだろうか？

貴『…考えすぎか…』

楽しく酒を飲む彼らを眺めながら、ミツキはザワつきを胸の内に仕舞い酒を口に運んだ。

…

その後暫くして夜も更け、杉元は正座したままうつらうつらしていたアシㇼパを寝かせに二階へと上がった。

白石はミツキの肩にもたれかかりウトウト微睡んでおり、海賊に至っては座卓の天板に突っ伏して寝ている。

貴『寝ちゃったんですか？』

白石「ん〜？」

ミツキがそう問い掛けると、白石は眠そうな声で小さく唸る。

貴『白石さん、寝るなら上で寝ないと…』

白石「…そのまえにウンチ…」

白石はそう言いなんとか立ち上がるも酒が回りきっているせいか、フラつきながら便所とは反対の方へ歩いていく。

貴『え、そっちは外…』

白石「大丈夫〜」

そのまま入り口の戸をガラリと開けて外に出ていく白石にミツキは困惑しつつ、放っとく訳にもいかず仕方なく立ち上がり追い掛けた。

貴『白石さん、そっちは通りですよ』

白石「ん〜」

戸を開けてすぐのところで、ミツキは千鳥足な白石をなんとか引き止める。
その際ふと上を見上げると、雲に隠れていた月がちょうど顔を出した。

白石「ミツキちゃんはさ……金塊気にならないの？」

寝惚けながらも、白石が突然そんなことを問い掛けてくる。

貴『そりゃ、勿体無いとは思いますけど……
でも、アシㇼパさんが"忘れてくれ"って言ってたし…

それに、あの深い古井戸から全部の金塊を運び出すなんて、そうそう出来ませんよ』

ミツキがそう言うと、白石は「はぁ…」と腹立つ顔で息を吐いた。

白石「そこを気合いと工夫でやるんだよ！」

貴『そんな無茶な…』

ミツキは思わず呆れたように呟く。
そんなやりとりをしているうちに、白石は酔いが覚めてきたのか大きく欠伸と伸びをする。

白石「なんか酔い覚めちゃった…寝よ」

「ミツキちゃん一緒に寝る〜？」と冗談混じりに言う白石をミツキは軽くあしらい、二人は家屋へと戻っていった。

海賊「……

古井戸、ねぇ…」

……
…