【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ43)

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142話　夕焼けページ43

貴『そういえば、お金無いんですよね？
さっきスッカラカンだって…どうやって函館まで行くんですか？』

そう問われた白石はまるでうら若き乙女のように頬を赤らめ、目をパチクリとさせ気まずそうに笑う。

白石「だからあ〜ちょっと夢主ちゃんのお金…
いやッお力を借りたいなぁ…なんてねぇ〜〜？」

貴『…』

こいつ……

ミツキは呆れたように目を細め、適当に巾着から汽車代を渡す。

白石「イヤイヤ〜〜悪いねえ〜〜〜」

そんなミツキを他所に、白石は受け取った小銭を握りしめて嬉しそうに駅の方面へと駆けて行く。

貴『……ハァ…』

ミツキは自身の浅はかな行動に軽く後悔しながらも、白石の後を追うように歩き出した。

…

その後二人は駅に着き汽車に乗り込み、静かに揺れる車内にて。

白石「ねえねえ、ミツキちゃん」

貴『？なんですか？』

窓の外を流れ行く景色をぼんやり眺めていると、突然白石に声を掛けられた。
ミツキは窓から視線を外し、彼の方へ顔を向ける。

白石「ミツキちゃんっていつもその袴着てるけど、そろそろ新しい服欲しくないの？」

貴『服…ですか？』

突然の問いに思わずキョトンとしながら問い返す。
彼はミツキの袴に視線を移し、言葉を続けた。

白石「だってホラ、せっかく可愛いのに色々お洒落したくならないの？」

貴『…そういうのは良いです』

珍しく無愛想に答えたミツキは窓枠に肘をつき、窓の外へと視線を戻す。

白石「えぇ〜なんでえ〜？絶対似合うのに〜…」

貴『…ッ』

そう白石に言われミツキの頬は徐々に赤く染まり出してしまい、そんな彼女の反応が面白く見えるのか白石はさらに続ける。

白石「お？もしかして照れてるぅ？ミツキちゃんってば可愛い〜！」

貴『てッ照れてないッ！！』

ニヤニヤと笑いながら揶揄う白石にムキになって言い返し、再び窓の外へ視線を戻す。

そんなくだらないやりとりを交わしながら二人は汽車に揺られ、時々乗り換えつつ長い時間をかけてようやく函館へ降り立ち、五稜郭へと歩みを進めた。

…

五稜郭へ辿り着く頃には日も落ちかけており、辺りは真っ赤な夕焼けに照らされていた。

貴『……六ヶ月前と同じ…』

白石の少し後ろを歩いていたミツキは、ふと目に映る景色に足を止めポツリと呟く。

金塊が五稜郭にあると突き止めて
土方さん達とここに来た日

あの日もこんな風に
空が赤々と燃えていたっけ

初めて白石と出会ってから、杉元とアシㇼパ達に同行するようになって色々なことがあった。