【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ5)

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104話　海賊と恋バナとページ5

ミツキが駄菓子屋の前に並んだ玩具やお菓子を見ていると、ふと横からヒョイっと海賊が顔を覗かせた。

長身なせいか彼の長い髪が顔の端に少しかかる。

貴『なんでって…』

てっきり聞かれないとばかり思って油断していた。
急な質問にうまく答えられず、近くにあったブリキのおもちゃを指の先でいじくる。

海賊「ミツキちゃんも金塊に興味があるのかい？手に入れたら何に使うの？」

貴『…特に使う予定は無いです』

海賊はミツキの返答にニコッと無邪気な微笑みを浮かべ、更に顔を近付ける。

貴『…っちか…』

海賊「もしかして…シライシといたいだけ？」

貴『…っ！』

ドクンと、心臓が大きく跳ね上がる。
顔が自分でも感じるほどに熱を帯びていくのが分かってしまう。

海賊「えぇ〜？まさか本当に？こんな可愛い子捕まえるなんてシライシもやるなぁ！」

貴『ば…ッ！？な…っは…？そんなこと…ッ』

海賊「震えてる震えてる！手ガクガクしてるよ！！面白いなぁッ」

「大丈夫？」と聞いてくる海賊のその顔は例えるなら、恋バナで相手の好きな人を聞きバラさない約束をした翌日に、皆に言いふらす奴のようなニヤついた顔だ。

男前なツラしてたらなんでも許されると思ってるのかこいつは…！
ニヤニヤしやがって…！

貴『お…っおばちゃんッ！これくださいッ！』

婆「はいよーまいどあり。男はちゅーしときゃおちるのよお嬢さん。がんばって」

海賊「がんばって♪」

貴『うるさい…っ』

…

そうしてミツキは海賊から茶化されながら、杉元達がいるであろう場所まで歩く。

海賊「それで、家族はいるの？きょうだいは？」

貴『まだ質問する気ですか…』

海賊「さっきのことは言わないからさ」

海賊のしつこい質問責めにため息を吐き、ミツキはぶっきらぼうに答える。

貴『…どっちもいますが』

海賊「帰らなくて良いのかい？きっと心配してるんじゃないかな？」

貴『……もう、帰れません』

海賊「…どうして？」

貴『…』

質問に答えたくないのかミツキは黙ってしまう。
そうして歩いていると、前方に理髪店が見えてきた。

白石「お、ミツキちゃん！どこ行ってたの〜？」

貴『駄菓子屋ですよ』

海賊「おう、シライシ！お前理髪店に用なんてあるのか？」

白石「え゛…なんで海賊がミツキちゃんといるんだよ…」

貴『それは私も聞きたいですよ…』

…

白石「おい杉元、この記事見たか？」

杉元「札幌でまた娼婦が殺された事件だろ？」

白石「いやそれじゃなくて…」