【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ40)

今日:2 hit、昨日:39 hit、合計:5,569 hit

139話　黄金のカムイページ40

…

貴『追いついてきた…！』

馬をしばらく走らせていると、前方から銃撃音が聞こえてくる。
少しばかり機関車の横で並走していると、先頭で杉元に刀を突き刺す鶴見中尉が目に飛び込んできた。

貴『…ッ！！』

そんな光景に、身体中の血の気がサッと引いていくのを感じた。

そんな…

まさか杉元さんまで…

「俺は不死身の杉元だ…」

貴『……ッ！！』

そんな不安がズシリとのし掛かる中杉元の言葉が僅かに聞こえたかと思うと、アシㇼパが思い切り宙に舞いこちらへ飛んでくる。

谷垣「な…ッ」

白石「うおぉッ！？」

貴『アシㇼパさんッ』

白石と谷垣、ミツキ共に慌てて彼女を受け止める。
その際アシㇼパの足が白石の頭にぶち当たり、「ぐえ」と白石の情けない声が聞こえた。

貴『…！！函館駅に突っ込んでく…ッ』

そのままミツキ達の前方を突き進む機関車は減速することなく函館駅へ突っ込み、建物を勢いよく突き抜け函館湾へと落下していった。

アシ「杉元ッ！！」

白石「ミツキちゃんこれ持ってて！！」

貴『えッ飛び込む気ですか！？』

白石はミツキに自身の半纏を持たせると、そのまま杉元を助けるべく先ほど機関車の突っ込んだ水面へ飛び込んだ。

…

それから色々あり、六ヶ月後。
ミツキ達は東京に来ていた。

"花市生花店"
そう書かれた看板の店から、杉元が出てくる。

ミツキ達の元に戻ってきた杉元は、何か憑き物でも落ちたような清々しい顔に、穏やかな微笑みを湛えていた。

貴『渡せたんですか？金塊』

杉元「ああ、待たせたな」

白石「ズルイよな〜ちゃっかり両手分の分け前を取ってたなんてよ」

アシ「…あの金塊はそもそも、アイヌが和人と戦うために集めた。
でも、アイヌを守っていくのに黄金のカムイは必要ない。
自分ひとりの力でもできることをやっていく。
それが私の選んだ答えだ」

アシㇼパはしっかりと前を見据え、そう自分の思いを告げた。
その真剣な眼差しからは彼女の強い意志が感じられ、ミツキの胸をじんわりと熱くさせる。

杉元「それで良いと思うけど…
黄金のカムイってのはそんな悪いものじゃなくて、使う奴によって役目が変わると思うんだよな。

俺が渡した金塊は、いつか梅ちゃんと寅次の息子の役に立つと信じてるし」

そう言う杉元の横で白石がウンウンと頷く。

…

貴『ん？それなんですか？』

それから少しして、ミツキは何やらアシㇼパが干された実のようなものを四人分手に持っていることに気付く。