【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ29)

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128話　黄金の雨ページ29

白石「ああ…やったんだ…！」

貴『…ッ』

金塊を両手いっぱいにしたミツキが白石に微笑んでそう言うと、突然ぎゅっと強く抱きしめられる。

貴『…！ふふ…』

この人とこうしているだけで
私にとって金塊よりもずっと価値がある。
大切なもの、愛おしいもの。
ずっと守っていきたい。

もしかしたら
この気持ちが…

白石「……ミツキちゃん…」

貴『…なんですか？』

ドオォン

「！？」

その瞬間、大きな砲撃の音が再び耳に届く。

杉元「艦砲射撃がまた始まった…！」

牛山「上がってこい！！四人とも縄を掴め！！」

上から牛山がそう叫び、杉元とアシㇼパはロープを掴む。

白石「ヤダッここにいるッ！！」

杉元「馬鹿野郎ッ砲弾が直撃したら生き埋めになるぞ！」

貴『白石さん！行きましょう』

白石「…っ」

ミツキは自身の手を白石に差し出し掴まらせ、古井戸から抜け出し再び兵糧庫へと逃げ込む。

貴『兵士達が突撃し始めたようですね…』

土方達が外へ向かい、アシㇼパが権利書を矢筒に隠している間、ミツキと白石は外をチラリと覗き込み観察する。

白石「…そろそろ準備しねぇと」

貴『そうですね…』

…

アシ「……いよいよ兵士が入って杉元と戦い出したぞ…」

白石「心配なのは分かるけど、杉元の手助けなんてやめとけよ？今は俺たちに出来ることをしようぜ」

貴『そうですね…最悪逃げる事になった時のために準備もしないと…』

ソワソワした様子のアシㇼパを諭すようにそう言い、ミツキも準備を手伝う。

白石「…今は権利書を守ることだけ考えなよ。北海道で生きるアイヌのためになるんだろ？キロちゃんの想いを全部無駄にしないためにもさ…」

アシ「…」

貴『白石さん…』

この人はたまにまともな事を言う。
ふざけてばかりじゃない、しっかりした義理堅い男なのだと、こんな時に強く感じさせる。

しばらく準備を進めながらも様子を見ていると、こちら側が敵に圧されているようだと理解する。

貴『まずいですね…南口も東口も陥落してますよ』

白石「侵入した兵士たちは北口を襲ってる…北口がやられたら全勢力が俺達に襲いかかる。
逃げようぜ！権利書を守るために！！」

アシ「…分かった」

貴『では私が馬小屋に火を付けます。その間に橋を渡ってください』

白石「ああ、頼んだぜ…っ！？」

ミツキは第七師団の軍服に身を包んだ白石にそう言うと、つま先を伸ばし顔を近付けた。

白石は目を瞑って待つも、一向に期待するものが来る気配はない。