【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ27)

今日:6 hit、昨日:39 hit、合計:5,573 hit

126話　覚悟ページ27

白石「残り半分の金塊が五稜郭にあるのか無いのか、逃げる前にはっきりさせようぜ！
金塊をひと目見るまで死んでも死にきれねえよ！！」

貴『ここまで頑張ってきましたもんね…』

アシ「落ち着けシライシ！」

情緒が可笑しくなっているのか大粒の涙を流す白石に、アシㇼパがそう一喝する。

その後、また兵糧庫の地面を掘り進めていると、いつの間にか艦砲射撃が止まったのか衝撃音はしなくなっていた。

牛山「艦砲射撃も止んでるみたいだし…今のうちにお嬢だけでも逃したらどうだ？なんなら権利書を持たせて」

白石「いいんじゃないの？土地の権利書なんて俺には何の役にも立たないし、みんなもそうだろ？
やっとここまで辿り着いて金塊が足元にあるかもしれないってのに、諦めるなんてできねえ」

アシ「…私も残る。みんなの役に立ちたいし、私は見届けなきゃ」

貴『アシㇼパさん…』

牛山「お嬢…」

土方「…」

そんな中ミツキの視界の端に、先程から黙って刺青人皮の図を凝視していた土方が映る。

土方「……お前は逃げないのか？ミツキ」

貴『…へ？』

予想していなかった土方からの唐突な問いに、つい間抜けな声が出てしまう。

土方「お前は金塊に興味も無ければ、負傷もしている。逃げるなら今だぞ」

貴『何を今更…当然私も残るつもりです』

ミツキの言葉の後、少しの間が空く。

土方「ミツキ…お前、斬れなかったのだろう？」

貴『っ！何故それを…』

土方「人を殺す覚悟もないというのに、何故逃げない？理由はなんだ？」

貴『わ…たしは…』

白石「？」

言い淀み、ふと白石の方をチラリと横目に見て、再び土方と目と目を合わせる。

貴『……目標が出来たんです。それを達成するまで、私はここに残って皆と共に鶴見中尉達を迎え撃ちます」

土方「覚悟はあるのか？」

貴『…それで大切な人達を…守れるのなら』

土方「…そうか」

そんな時、兵糧庫の外から土方を呼ぶ声が聞こえ、門倉が入り口へと駆け込んでくる。

門倉「永倉さんがわざと捕まりました！！俺に向かって"あとは頼んだ"って…砲撃が止んでるのは、もしかしたら永倉さんのおかげかも…」

貴『永倉さんが…？』

門倉「とにかく！！手はず通りに行きますよ？」

その時、門倉の立つ入り口から一筋の風が入り込み、門倉の入れ墨が写された紙がパラパラと舞う。

土方「…！」

そのまま門倉の写しは丁度よく刺青人皮の図の真ん中へハラリと落ちる。