97話 助太刀 ページ48
そんな杉元の方に海賊が銃口を向け、カチリと音を鳴らす。
貴『…！させるかッ』
海賊「…？！」
杉元が船員を川へ放り投げると同時に、ミツキは海賊の銃を構える手を引っ張り空へ無理やり向けさせる。
海賊「へぇー、あんた女の割に肝が据わってるんだな」
貴『！ぁぐ…っ！？』
白石「ミツキちゃん！！」
海賊の構えていた銃を力尽くで落とさせようとするも振り解かれてしまい、ミツキはそのまま床に思い切り叩きつけられてしまった。
海賊「おいシライシ！！随分と頼もしい子分と女がいるじゃねぇか！いいねぇ！」
貴『っぅ…ぐ…っ』
白石「ミツキちゃんやめろ！動くな！！」
海賊「へー…ミツキちゃんって言うんだ。あんまり無茶なことはするもんじゃねぇぞ」
床に投げ出された刀に手を伸ばすも海賊によって手の届かない遠くへと蹴り飛ばされる。
海賊「なんだよシライシ…お前みたいなヤツは今頃祇園でブラブラしてるんじゃねぇのかよ。
グズグズと北海道で何やってんだ？もしかしてこのかわいこちゃんはお前の嫁さんか？」
白石「…俺達は金塊が最初にアイヌによって隠された場所…そこを知ってる奴がどこかにいるはずだと思って探してる」
海賊はそれを聞くや否や一瞬だけ驚いた顔をした後、「なーんだお前もか！！」と笑い出した。
海賊「じゃあシライシもどこかで聞いたのか？俺らの入れ墨の暗号はもう解けないって噂…」
「…！！」
まさかアシㇼパさんの聞いた話は本当だったのか…？
そんな考えが脳裏に一瞬だけ過ぎると、下から声がする。
手下「海賊さん！向こうから厄介な船が来ますぜ！！」
白石「何が来るって？」
海賊の手下の警告が聞こえると同時に、前方から船が向かって来ているのが目に入った。
杉元「鶴見中尉の部下達か？」
白石「わかんねぇけど、どっちにしろ第七師団に見つかるのはまずいぜ…」
海賊は操縦室にいる船長に「船を出せ」と銃口を突きつけ船を進ませた。
海賊「おかしなマネすんなよ」
白石「早く行け早く行け…」
兵隊達の船がゆっくりと通過していく。
そうして兵隊達の乗った船が通り過ぎようとしていた時、パァンッと銃声が響いた。
「！！」
貴『この音は下から…！？』
杉元「アシㇼパさん！！」
そうして杉元が下へ駆け降りて行き、少しして銃声が何度も響き、その音を聞かれたのか兵隊達の船がこちらへ戻ってくる。
白石「やべぇッ追ってくる！」
海賊「代われ」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月2日 7時
