96話 海賊さん ページ47
杉元「念の為に裸にひん剥いておけばよかったな…」
アシ「…聞き間違いだったかもしれない…」
貴『…』
アシㇼパさんに限って聞き間違いなんて、そんなことあるんだろうか。
そんな一つのモヤを残したまま、ミツキ達は町を後にした。
…
ミツキ達は白石の提案により、蒸気船に乗って石狩川を下って江別まで行くことに。
アシ「初めて乗った」
貴『私は昔乗ったなぁ…風きもち〜』
川特有の匂いがたまらない…。
暖かい太陽と少し冷えた風が心地よく、ミツキの少し長い髪をなびかせる。
白石「昼前には江別に着くぜ」
その後ミツキ以外の三人は下の階へ降り、ミツキは一人で風を感じながら川を眺めていた。
船員「最近石狩川で船を襲ってるって噂の連中じゃないですか？」
貴『…？』
船長「ああ、間違いねぇな…腰に銃をさしてやがる」
しばらくそうしていると、なにやら操縦室から物騒な話が聞こえてくる。
船長「舐めんじゃねぇ！！蹴散らしてやるぜ！！」
貴『なにかあったんですか？』
船員「！お客さん、危ないから下へ降りていてください！」
しかし船員の警告はすでに遅く、船は大きく揺れて近付く小舟を巻き込んで粉々にしていく。
貴『！小舟が近付いて…』
ミツキが船の横に近付いてくる小舟にふと目を向けると、長髪の男と視線がバチリと合った。
白石「舟とぶつかったぞ。ミツキちゃん大丈夫か？」
その時、船の上へ一気に飛び上がる人影が見えたかと思った瞬間、目の前に先ほど目が合った長髪の男がびしょ濡れで立っていた。
海賊「船を止めろ。それとそこの可愛いお嬢さん、その物騒なもの納めな」
貴『…っ！』
流石に銃相手に刀は厳しいか。
というかこの人でかいな。
ミツキは鞘からチラリと刀身を覗かせたまま、男の様子を静かに見る。
白石「あれ？」
海賊「ん？」
白石「海賊…！！」
白石のその言葉に、杉元とミツキがハッとする。
貴『この人が…？』
海賊「おお〜〜シライシじゃねぇか！」
先ほどの鋭い表情から一変し、無邪気な笑顔に変わる。
船員「どういうことだ、なんだお前ら？」
船長「気をつけろ！！その二人も仲間だッ」
貴『えぇ？』
船員達に思わぬ誤解をされてしまい、白石は慌てて否定するが信じてもらえなかったよう。
貴『杉元うしろ！！』
杉元「！よせッ！！」
船員の一人が杉元の背中の銃を取ろうとするも、杉元はその船員の方へと振り向き阻止する。
杉元「やめろバカ！お前撃たれるぞッ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月2日 7時
