【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ43)

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92話　画伯ページ43

どうやら二人はヒグマを目撃したようで、その最中にアシㇼパが戻ってきた。

杉元「アシㇼパさん！あっちにヒグマいた！！俺と白石も見たよ！！平太師匠の言う通り近くにいるッウェンカムイから平太師匠を守らないと！！」

…

そうして杉元と白石が見たと言う場所まで向かいヒグマを探すが、やはり見つからない。

杉元「おかしいなぁ〜間違いなくこのへんにいたんだけど…」

アシ「ヒグマがいたのに足跡が残っていないなんて絶対にありえない…」

貴『不思議ですねぇ…』

足跡がないなんて、木でも登って移動しているのだろうか。
ミツキはそんなことを寝ぼけまなこの中考える。

杉元「俺らは熊を倒すから、白石と峰山は平太師匠を探せ！あの男が食われたらすげぇ困る！！頭巾ちゃんを連れて行け！」

白石「了解ッ！！ミツキちゃん、行くぞ！」

貴『りょーかい』

…

貴『…あ、いた！頭巾さん！』

白石とミツキが丸太の上に座るヴァシリを見つけ、その側へ駆け寄る。

白石「頭巾ちゃん！ちょっとついて来て！！」

ヴァ「…」

しかしこちらへ振り向くことはなく、何かを一心不乱に描き続けている様子。

貴『…？何を描いて…』

白石「…ッ！」

ヴァシリがガリガリと描いていたのは先ほどまで自分達と話していた男、平太であった。
そしてその体には、見慣れた刺青が彫られている。

貴『あの人囚人だったんだ…っ！』

白石「杉元達に早く知らせねぇとッ」

そうしてヴァシリの紙を借りてアシㇼパ達を探しに駆けて行く。

…

貴『！アシㇼパさん！』

白石「アシㇼパちゃん！平太師匠はどこ？この絵を見てッあいつは入れ墨持ちの脱獄囚だ！！」

そう言って白石とミツキが絵を見せると、アシㇼパは杉元が平太に襲われて落ちていったことを伝え、三人で後を追いかけた。

アシ「杉元！無事か？」

平太「やった…あいつに勝ったぞ…」

貴『…っ』

そう弱々しく言う平太の首には矢が突き刺さっており、見るに堪えないほど痛々しい。

白石「毒矢を抜かないとッアシㇼパちゃんなんとかしてッ」

白石がそう言うも、平太は「このままでいい」と治療を拒み、話を始めた。

稼いだ分をその日のうちに散財する平太の家族、その家族の寝起きする場所に熊を呼んだこと、それ以降ウェンカムイに乗り移られ人を食い殺していた話。

平太は瀕死の中でぽつりぽつりと語ってくれた。

平太「誰かに止めて欲しかった…杉元さんが戦ってくれたおかげで…やっとウェンカムイを消すことが出来た…」