【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ32)

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81話　探し物ページ32

貴『なにが母親じゃ！息を吐くごつすらごとばっかり吐くような人間のくせに！
わしんこと産まんとよかってん散々言いよったくせに！！』

母「ひぃぃッ！！バケモノ！！」

バケモノ？誰のせいだと思ってるんだ。

泣きじゃくりながら叫ぶミツキの悲痛な声が暗い夜道に響く。

白石「…っミツキちゃんッ落ち着いてくれッ！！」

アシ「！白石！？」

貴『…っ！！』

白石は咄嗟にミツキに駆け寄り、刀を固く握る彼女の手を掴む。

貴『しら…ッッ！？』

白石「お…落ち着くんだッ！！ミツキちゃん！！何があったかしらねぇが殺しちゃだめだッ！しっかりしてくれッ！！」

そう言ってミツキを真っ直ぐ見つめる瞳の中に、自分の姿がくっきりと反射する。

瞳の奥に映る、過去が忘れられず、憎しみでバケモノのように醜く歪んだ自分と目が合った。

ああ…

なんて醜いのだろう

こんな姿見られたくなかったのに

さっさと殺して終わらせるつもりだったのに…

貴『…ッ……なして…邪魔するんか…ッ』

カチャリと刀が地面に落ちる音がし、頭上に振り上げていた両腕を白石の胴体にまわし抱きしめる。

それからどのくらい経ったのか分からない。
母はさっさとどこかへ逃げてしまったようで、辺りは完全な静寂に包まれた。

貴『……人を…殺そうと……あいつが言った通り私は…』

…醜く恐ろしいバケモノだ。

白石「……俺はガキの頃、寺にいた。だから…親の事はわからねぇ。…でも、これだけははっきり言えるぜ？
ミツキちゃんはバケモノじゃない、普通の可愛い女の子だって」

貴『……ぅう…っ』

体温のあたたかさが伝わってくる。
ミツキは白石の胸に顔をうずめ、声を押し殺して小さく泣いた。

…

「トホトホ、トー！トホトホ、トー！」

そうして色々ありつつ、ミツキ達は犬ゾリでエノノカ達の村へ。

アシ「先頭犬になれるような良い犬は他の犬より特別扱いで、飼い主と家の中で一緒に寝起きするんだそうだ」

白石「リュウはここにいた方が大切にしてもらえるな」

貴『…自分の居場所を見つけたわけですね』

リュウを撫でるアシㇼパを見ていたら自分も撫でたくなったのか、ミツキもしゃがみ込み、リュウの頭を撫でた。

杉元「世話になったぜ、リュウ！」

鯉登「ありがとうな」

貴『元気で…』

そう言って、皆それぞれリュウを撫でくりまわした。

そして月島が言うには、ここから大泊までは馬ゾリに乗せてもらうことになったという。
ヘンケとエノノカの二人と別れ、馬ゾリに乗る。