78話 オコメ作戦 ページ29
白石「口噛み団子が忘れられなくて…行く先々でお婆ちゃん…とミツキちゃんに噛んで貰おうと思って買ったオコメ…」
貴『…ん？』
今何かボソッと聞こえたような…
白石「こいつをばら撒いて…カラスに紛れて逃げるしかねぇッ」
「そりゃぁ！」と投げた白石のオコメ達に、彼の思惑通り沢山の鳥達が集まってきた。
貴『…って…雀かぁ』
白石「んぐぅ……かわいぃ…ッ」
そんなことをしていた丁度その時、もう狙われていないことに気付いた月島から杉元が行ったということを聞き、アシㇼパが駆けていく。
貴『どうやら杉元さんが行ったみたいですね。とりあえず手当てをしっかりしないと…立てますか？」
白石「あぁ…いででッ」
痛がる白石の手を引っ張り、ソリまで杖を貸して歩かせた。
…
それから少し経った後、狙撃手のロシアの男がその場に姿を現した。
白石「ロシアの兵隊さんよぉ…次に人を探す時は、まず本人がいないか聞け！人の脚を撃ち抜く前になぁ！！」
白石はロシアの男に「何か言うことねぇのかよ！」「ロシア語に謝罪の言葉はないのかね！」と、ここぞとばかりに強気な態度で怒り散らかす。
白石「うぅ…」
杉元「傷のせいでうまく話せないらしい」
ロシアの男の顔の傷を見せられてしまい、白石はびっくりしたのか黙ってしまった。
白石「早くロシアに帰れ！バカアホ！」
そうして犬ゾリに乗り、街を出て再び走り出した。
白石「あのロシア人ついてくるぞ。馬を盗んだな、あいつ」
貴『まだ皇帝暗殺の仲間だと疑われてるんでしょうか…』
アシ「…いや、あいつはもうキロランケニシパには興味はない。あの尾形の似顔絵、手配書の裏にかかれていた」
…
そしてまた一行は進み、豊原へ。
月島「電報によれば登別で用事を済ませた後、樺太へ向かうそうだ。
二週間後に大泊まで迎えに来るのでそれまで待機せよ、とのこと。なのでしばらく、豊原に滞在する」
鯉登「理由は、豊原のほうが大きな町で良い宿があるからだ。以上、各自好きに過ごせ」
好きに過ごせって…なんだか旅行だ。
お菓子でも買いまくろうかな。
そんなことを呑気に考えながら、ミツキはふと目に映った雑貨屋の前に出品されている品々を眺める。
「あら、ミツキじゃない！」
ふわりと嗅ぎ慣れた、酷く甘い香水の香りが鼻先を撫で上げていく。
けたたましく打ち鳴らされる心音が、耳の中でこだまする。
なんでこんなところに…
てっきり実家にいるんだとばかり…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月2日 7時
