【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ25)

今日:21 hit、昨日:56 hit、合計:6,145 hit

74話　口笛の白昼夢ページ25

白石さんに教えてもらっても中々出来なくて、すごく苦戦したっけ…

『フゥ…っフヒュイュー〜っ』

「だははは！！だめだめ、こうやるんだよ！こう！」

「白石、峰山、二人して何やってるんだ？」

「キロちゃん！なにって、ミツキちゃんに口笛教えてんのよ」

「今のがそうなのか？ハハハ！だめだな、口笛はこうだ」

ピューゥ♪

『…！すごい、さすがだなぁ』

「ふ…ふふん！そのくらい俺にだってぇ…！！」

結局その日は、私が口笛に成功することはなかった。
けど、すごく楽しかった。

今なら出来るだろうか？

貴『……フ…
…ヒュ…プュー〜…♪』

白石「！？」

杉元「？今何か…」

アシ「…口笛？」

突然目を覚ましたと思った途端、口笛を吹き出した。
あの日以来出来ずじまいだったそれを、聞けたのだ。

貴『…できた…？』

白石「はは……ヘッタクソだなぁ…」

キロ「…」

キロランケは横になっているミツキの側に座る。

キロ「…なんであの時…俺を庇ったりなんか……」

この人のこんな顔…初めて見た…

貴『…ショール…』

キロ「…なんだって？」

貴『ショールの…お礼です…』

キロ「…」

アシ「また気を失ってしまった…」

…

その後再び目を覚ますと、古ぼけた病院のような部屋で、目の前にはキロランケと戦っていた肌の濃い男と、尾形がいた。

ロシア語で尾形が何かをボソリと男に呟いた後、尾形はミツキへ振り返った。

尾形「！お前起きて……ふん…俺と同じくしぶとい女だ」

鯉登「待て！！尾形ぁッ」

そのまま尾形は窓から飛び出していった。

…

その後、ミツキはなんとか辛うじて歩けるようになるまで回復した。

貴『白石さーん、荷物運ぶの手伝いますよ〜』

白石「！ミツキちゃん！む…無理すんなよ、手ならいくらでも貸すんだからさ…！」

慌てた様子で白石はそう言って、一人で歩いてくるミツキに手を貸そうと駆け寄る。

貴『？キロランケさんは？」

白石「キロちゃん、ソフィアを探しにいくって行っちまったよ」

貴『……そっか…』

…

「トホトホ、トー！トホトホ、トー！」

貴『国境石だ…！』

白石「あばよ、ロシア！」

犬ゾリが国境石の前を通り過ぎていく。
ロシア領に入った時のことを思い出し、なんだか感慨深い気持ちになってしまう。

アシ「？どうした峰山、傷が痛むか？」

貴『それもあるけど…なんか……
色々あったなぁって…』

深傷は負ったけど、皆なんだかんだ生きてロシア領から出られた。それだけで十分だ。