62話 カムイレンカイネ ページ13
アシ「私達を待ち伏せてたと言いたいのか？」
男「アンマー！うぅ…アンマァ…！」
貴『ちょ、今だけは抑えてください…！』
泣き叫ぶウイルタ民族の男をミツキがなんとか全身を使って抑える。
何を思ったのかキロランケは撃たれたウイルタ民族の男の元へ歩いていき、肩に担ぎ連れてきた。
それと同時に、尾形が狙撃手がいると言っていた方角へ発砲した。
尾形「今だ行け！」
ミツキ達は残ったトナカイを走らせ、なんとかその場を離れることが出来た。
アシ「骨まで見えてるけど、頭は貫通してない。大きな帽子のおかげで狙いが逸れた」
白石「親父さんが死んでなくて良かったけどよ…それにしたって！ミツキちゃんもそうだけど、さっきのは無茶だぜキロちゃん！どうしちゃったの？撃たれても不思議じゃなかったのに」
キロランケは少し間を置いた後、「カムイレンカイネ…」と呟く。
キロ「…カムイのおかげだ」
尾形「違うなぁ…俺のおかげだ。親父さんが助かったのも、帽子のおかげ。全ての出来事には理由がある。
俺達が襲われてるのにも、理由があるはずだ」
アシ「助けたことは絶対に間違ってない。…でもあそこまで…何か思い当たることがあるのか？キロランケニシパ」
キロランケが何も答えないでいると、尾形が頭巾を被り森へと歩いていった。
白石「…！ミツキちゃん、それ…！」
貴『え？』
アシ「耳元から血が出てるぞ！さっきのあれで当たったのか？」
先ほど男を伏せさせた時に掠めていたらしい。
幸い傷は浅いものだったので、軽く拭いた後布で押さえた。
…
それからミツキ達が尾形が先ほど撃った方角へ進んでいると、爆発の音が近くから聞こえた。
キロランケの仕掛けた爆弾に奴らが掛かったようだ。
そのまま進んでいくと、尾形の撃った相手を見つけた。
男「ユルバルス…」
アシ「繰り返し何と言ってるんだ？」
男は、血に濡れた一枚の指名手配書のようなものを見せてくる。
「…！」
貴『……似てる…』
アシ「これ…キロランケニシパか？」
白石「このロシアの国境守備隊は…キロちゃんが目当てだったんだ…なんで指名手配なんて…」
辺りは暗くなり、月明かりに照らされたキロランケの瞳は、とっくに息絶えた男を視界から離さない。
キロ「…十五歳の時。俺はサンクトペテルブルクで、反体制過激派組織と知り合った…」
そして、彼が過去に犯した事、そしてその場にアシㇼパの父親もいたことを聞いた。
キロ「俺達で皇帝を…暗殺したんだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月2日 7時
