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第七話 ページ8

くいくい

「ん?」

敦は何かに服を引っ張られた。

視線を下に向けるとそこにはクレープを持った少女が敦の服を引っ張っていた。

「あ、クレープ?買ってもらったの?」

「…甘い、あげる…。」

小さく頷いた少女は敦にクレープを上げようと差し出した。

「大丈夫だよ。

 いいから全部食べて?」

「……さっきから元気ない…楽しそうじゃない…だから…。」

少女がクレープを差し出したのは先ほどからため息や怖い顔などをした敦に元気を出してもらうためだった。


まるで意思のないなんて嘘のような少女の素振りに敦は目を疑った。

本当に自分の意思がないのか?これは意思があるようにしか思えない。


「あとで……兄様?…にも…。」

少女は谷崎のほうへと目線を移せば先ほどナオミが言っていた呼び方を言いながら首を傾げた。


「あはは…僕は谷崎潤一郎だよ。」

「兄様には私が差し上げますわ。

 それはもうたっぷりと…。」

苦笑いをしながら自分の名前を言う谷崎に横からナオミが抱き着いた。

そしてゆっくり谷崎の体を撫で、今にも襲いそうな体勢となった。


「ちょ!ナオミさん、谷崎さん!

 やめてください!」

少女の目を手で覆いながら二人に注意する敦。


「あら、ごめんなさい。」

二人はハッとするも離れることはなかった。


「…敦、ちょっと元気出た…。」

クレープを一口かじりもぐもぐと口を動かせる少女は顔は変わらないがどこか嬉しそうだった。


これが…外。

本当に楽しい…。

織田作の言ってたこと…本当だった。

このまま……外に…。


「おい。」

嬉しく思っていた少女の心はある男の声によってかき消された。

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にゃあめ - やつがれ君分かってて渡したのか……推し優しすぎだろ………すきぴ (2021年2月11日 20時) (レス) id: bcb659b3e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - いえいえ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
ごごねこ(プロフ) - 黒薔薇さん» アアアアアア!ありがとうございます!ですが描きなおしたのが勿体ないのでこのままにします!ごめんなさい!!!!!! (2019年8月21日 16時) (レス) id: 62117aa9f8 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 『http://uranai.nosv.org/uploader/common/2/e/4/2e42882cc29720f8f1d22c4dd5fa2317.png』 (2019年8月21日 16時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 勝手に保存しちゃってごめんなさい (2019年8月21日 16時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:午後の猫茶 | 作成日時:2016年6月29日 0時

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