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トウカside
目の前で茶番を繰り広げられている中、私は一人考えていた。
何としてでも一刻も早くこの場から四人を離れさせなければならない。特にコウハ。あの子に気付かれてしまっては都合が良くない。……多分。恐らくきっと絶対。
ユズリハ「……あの、僕コウハ側で居るから…」
オウハ「な、ななな何ですって…」
コウハ「よーしよしよし!!だよな!やっぱり俺だよな兄弟ー!!」
クレハ「ユズ君が嫌そうなお顔をしておるのう〜…」
なるほどユズリハはコウハ側なのか。まぁ私はどうせすぐに事務所に行かなければならないし…オウハ側になれば私が蹲るコウハの肩を叩いてあげる所だったな。
いや問題はそれどころではなく。早く連れて行かなければ。
トウカ「そろそろ行こうか。あぁそれと、私はこの後少し事務所の方に行ってくるから。暫くは君達だけで頼むよ。」
オウハ「分かったわ。」
よし、良いぞ。そのまま行ってくれれば…
コウハ「あ。そういえばフジ、なんか俺達の他にも人は居るっぽいな?」
トウカ「……あぁ、そうみたいだね。すまない、やっぱり私達だけではなかったようだ。」
オウハ「大丈夫よ。勘違いは誰にでもあるわ。」
コウハ「あの人達もあれを登って来たんだなー。あんな大荷物で…すげぇなぁ……なぁエルー。」
私はその一瞬どきりとした。コウハがまじまじと他の人を眺めているのだが、早くそれから背けてくれないかとだけを願った。
目線を一点に集中させ、無意識に不自然に動きかける手を私は止めるのに必死だった。
エルレイド「言っとくけどあんなのはなぁ、俺様のテレポートにかかれば一発だからな。」
オウハ「じゃあ帰りは貴方にお願いしようかしら。」
エルレイド「その分俺の体力消耗激しいから却下な。」
コウハ「ケチー。ケチレイドぉ。」
エルレイド「うるせぇねじ曲げんぞ。」
コウハ「……え、時空だよな?俺じゃないよな?いや時空でもやばいよな?止めとけな?」
その時にはもうコウハを含め、全員の目線はそれの反対側に向けられていた。
私は今度こそはと思い、若干無理があるのだがオウハの背中をぐいぐいと押す。
トウカ「ほら、早くしないと無くなってしまうよ。」
クレハ「それは大変じゃー!」
トウカ「オウハ、後は頼んだからね。」
そうして私を除く全員は、不思議そうな顔をするオウハを先頭に、中へと足を踏み入れた。
その背中を笑顔で見送りつつ、私は安堵した。
良かった、後ろの"ロープウェイのりば"を認知されなくて。私もさっき思い出したけれど。
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らっこ(プロフ) - いつの間にか順位が付いておりました!閲覧・評価して下さった多数の方々、ありがとうございました!!話の関係でこの場でのご報告、お許し下さい。(また感謝イラストが描けたらいいなって思ってます(*´`)) (2019年8月28日 22時) (レス) id: 42979ffc68 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - 87様さん» 閲覧頂きありがとうございました!彼は結構複雑なタイプですが、好きな物には真っ直ぐな子ですので!よろしくして頂けると幸いです(*´`)彼にはこれからの自分の辿りたい道を見つけて頂きたいものですね…!|ω`) (2019年8月14日 20時) (レス) id: 42979ffc68 (このIDを非表示/違反報告)
87様 - この作品好きです!ユズリハ君推しますね←ユズリハ君の将来はジムリでしたか…!俺得回でしたありがとうございました。← (2019年8月14日 20時) (レス) id: 1eaad9c94d (このIDを非表示/違反報告)
マジカルパティシエクッキー(プロフ) - らっこさん» わかりました!了解です! (2019年7月28日 4時) (レス) id: ea02e12f92 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - マジカルパティシエクッキーさん» すみませんが一旦ボードの方でお話しても大丈夫でしょうか…? (2019年7月27日 22時) (レス) id: 42979ffc68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らっこ | 作成日時:2019年7月7日 18時