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消えゆく二つの背中に手を振ってから、トウカはいやに神妙な面持ちでオウハとコウハに向き直った。
トウカ「大きなお世話かもしれないが……少し良いかな。」
オウハ「何かしら。」
クレハの事なんだが。そうトウカが切り出すと同時に、オウハは一瞬目尻を下げたがまたすぐに、何を緊張しているのか、きゅっと口を結んだ。
トウカ「…あの子はポケモンを何匹持っているんだい?それからメガシンカするポケモンも。」
オウハ「六匹ね。メガシンカは確かデンリュウとプテラが出来るはずよ。」
そうか、とトウカは何かを考える仕種をした後、また口を開いた。
トウカ「まだ小さいようだけれど、歳はいくつだったかな?」
オウハ「12よ。…クレハがどうかしたかしら?」
オウハが怪訝そうに訊くと、トウカは一つ静かな息を吐いた。
トウカ「…いや。さっき、自分のルカリオの為にルカリオナイトを探していると言っていたけれど…それだとどうも、あの子には負担が多すぎるんじゃないかと思ってね。」
あの子は体が小さい。でもメガシンカをするにはそれ相応の負担が掛かる。
トウカ「――同じメガシンカ使いなら分かると思う。……率直に言うと、どれだけ求めていようと私はまだあの子に三つ目のメガシンカを行わせるべきではないと思うけれどね。」
まぁほんの少し前に出会っただけの人に言われる筋合いは無いのかもしれないが。トウカはそれだけを付け足した。
何か言いたげな目でトウカを見ていたオウハは、うーんと小さく唸って、でもね、と反論を繰り出す。
オウハ「あの子はずっと小さい頃からあたし達の真似をして、多分他の同世代の子達よりも早くにポケモンを持ち始めたの。…進化が早かったのも、あたし達皆で育て合ってたからと、ユズが居たからね。」
だからポケモン達と長い付き合いのあの子に負担の大きさなんて知れてると思うのだけれど。オウハはそう続けながら微笑んだ。
トウカ「…コウハはどう思っているんだい?」
コウハ「俺!?…俺は……バカだからよく考えた事ねーし、欲しいなら良いんじゃねぇのって思ってたけど……」
まぁあいつは何せずっと長い事欲しがってるからな、誰かに言われるよりも前にとっくに覚悟は出来てると思うぜ。
双子はそれぞれの考えを述べると、まだ考え込むトウカの口が開くのを待った。そして少しした後、トウカは分かった、と呟いた。
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らっこ(プロフ) - いつの間にか順位が付いておりました!閲覧・評価して下さった多数の方々、ありがとうございました!!話の関係でこの場でのご報告、お許し下さい。(また感謝イラストが描けたらいいなって思ってます(*´`)) (2019年8月28日 22時) (レス) id: 42979ffc68 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - 87様さん» 閲覧頂きありがとうございました!彼は結構複雑なタイプですが、好きな物には真っ直ぐな子ですので!よろしくして頂けると幸いです(*´`)彼にはこれからの自分の辿りたい道を見つけて頂きたいものですね…!|ω`) (2019年8月14日 20時) (レス) id: 42979ffc68 (このIDを非表示/違反報告)
87様 - この作品好きです!ユズリハ君推しますね←ユズリハ君の将来はジムリでしたか…!俺得回でしたありがとうございました。← (2019年8月14日 20時) (レス) id: 1eaad9c94d (このIDを非表示/違反報告)
マジカルパティシエクッキー(プロフ) - らっこさん» わかりました!了解です! (2019年7月28日 4時) (レス) id: ea02e12f92 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - マジカルパティシエクッキーさん» すみませんが一旦ボードの方でお話しても大丈夫でしょうか…? (2019年7月27日 22時) (レス) id: 42979ffc68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らっこ | 作成日時:2019年7月7日 18時