たくさん我慢した後は…。 ページ28
三日間がこんなに辛いとは思わなかった。
彼女を感じたくて体が疼いてしまう事もあったけど、
ゲームで気を紛らわせてその衝動を無理矢理押し込んだ。
でも、もう限界が近い。
予定では今日の夜頃に逢える筈。
それまで、我慢しないと。
やがてドアが開く。そこにいたのは。
「…ただいま、凜。」
「…お帰り、ひなちゃん。」
修学旅行から帰ってきた、ひなちゃんだった。
その肌は、健康的な小麦色に染められている。
「沖縄、楽しかった?」
「楽しかったよ。凜も来たら良かったのに。」
「それだけの為に学校に行くの、何かやだな。」
「学校に行く理由は何だって良いと思うけどね。
じゃあいつか、二人だけで沖縄行こうよ。
勿論、私達に余裕が出来たらね。」
私の肩に触れながら、優しくそう話してくる彼女。
「…いつか、か。
うん、いつか二人だけで修学旅行したいね。」
「二人だけだったら、ハネムーンとしてでも良いかもね。」
「は、はねむーん…。」
途端に赤くなる私を、そっと抱き寄せてきた。
「ふふ、可愛い。
ねえ、凜。ずっと我慢してきたんだから…、ね?」
「…私の方が我慢してたもん。
胸が痛くて、熱くなってて。
でも今やっと、ちょっとだけ落ち着いたの。
ひなちゃんに…、逢えたから。」
言い終えた後に口付けられる。
自然に掌が絡み合い、口の中も深く繋がり合う。
互いを求め合うその行為は、何分にも何時間にも思えた。
ゆっくり離すと、絡ませ合った手を見て言う。
それが単なる照れ隠しなのかは分からないけど。
「本当に黒くなっちゃってるね。」
「三日も経てば戻るよ。
凜は色白だから一日で戻りそう。
…凜、送り出してくれてありがとね。」
「ひなちゃんの大事な思い出だもん。
…ちょっと、寂しかったけど。」
「本当にちょっと?」
「……いじわる。」
ぽすんと、その胸に顔を沈める。
「ひなちゃんの胸、ドキドキ言ってる。」
「凜にやっと逢えたからね。
お土産持ってきたから、一緒に見ようよ。」
くぐもった返事を返し、私は彼女から離れた。
「はい、お土産の定番。」
「サーターアンダギーだ。食べた事無かったかも。」
「一緒に食べようよ。後、これ。」
渡されたのは、ハイビスカスをかたどった髪飾りだった。
「私とお揃いで買ったの。
ほら、組み合わせると一つのお花になるんだよ。」
「可愛い。ありがとう。」
彼女に寄り添うと、また肩に手を沿えて応えてくれた。
久しぶりの温もりに安堵と愛情を感じる。
我慢した分、彼女に触れていたいの。
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