[雛祭り企画]優しく甘い姫の悪戯 ページ27
「はい、凜のはこれね。」
「わ、苺大福…!」
二人だけのパーティーの準備を手早く済ませていく。
「それにしても、ひなちゃんのお誕生日が雛祭りの日なのって良いね。」
「そうかな。雛祭りは基本的に家族で過ごしてたから
友達と会えないって意味では嫌だな。」
「でも今日は私と会ってるね。」
「凜は特別なの。それに私の家ではもうやらないよ。」
小学生の時はやってたんだけど、それから後は覚えてないな。
持っている二本の内の一つを凜に渡す。
「お酒…?」
「甘酒。子どもでも飲めるやつだよ。」
それのラベルをまじまじと見つめてからテーブルに置く彼女。
準備を全て整えると、ささやかなパーティーが始まった。
「凜、乾杯。」
「乾杯…。」
甘酒が注がれたガラスのコップを一つ鳴らし、同時に一口飲む。
「…しゅわしゅわしないね。お酒じゃないみたい。」
「あれ、凜ってお酒飲んだ事無いよね?」
「無いよ。まだ子どもだもん。」
彼女はそう答えた後にまた一口飲んだ。
甘酒が気に入ったかな。
「ふふ、ひなちゃん…。」
凭れ掛かってくるが、動作がどこか妖し気に感じる。
「凜…?」
「えへへ、何かぽわぽわするー。」
「顔赤いよ?大丈夫?」
「だいじょーぶ。酔ってないもん。」
そして彼女は、私の膝の上に跨って座ってしまった。
「ひなちゃん、良いなぁ。柔らかくてぷにぷにで。」
「もう、どこ触ってるの…。」
美形とも言える彼女の綺麗な顔が上気し、更に妖しさを纏う。
甘く匂うその吐息が、私の鼻を擽った。
「私、貧相だから羨ましいよ…。もっとくっついて良い?」
まあ、減るもんじゃないから別に良いか。
「…良いよ。もっと近くに来て。」
「凜、本当は酔ってないでしょ。
アルコールは本当に少ない量しか入ってないから、
コップ二口じゃ酔わないよ。」
暫く互いを感じ合った後で、そう言ってみる。
「う…、バレちゃった。
ごめんね、ひなちゃん。
せっかくのお誕生日なのに何も用意出来なくて。」
「そんなの気にしなくて良いの。
一番欲しいのはもう手に入れちゃってるから。」
一つ彼女に口付けてから、言葉を続ける。
「私は凜がいてくれるだけで良いの。
凜がくれる時間が、私にとっては一番のプレゼントだよ。」
そう言って抱き締めると、彼女からも抱き締め返された。
重ねた頬は甘酒のせいだけとは言えない程に熱くなっていた。
私しか知らないだろう、彼女の甘い一面。
それを思う度にもっと甘えて欲しくなる。
次はいつ見られるのかな。凄く楽しみ。
たくさん我慢した後は…。→←[猫の日企画]彼女なりの誘惑 ※微裏注意
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