六十二訓 ページ14
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『…………あれ、ここって、』
「起きたか。心配したぞ。」
頭上からヅラの声が聞こえる
『ヅラ……、』
「ヅラじゃない桂だ。
お前の後ろ姿を見て
こっそり他の者につけさせたらこの様だ。
痛いなら痛いと言え。」
ヅラに正論を言われて目線を逸らす
『あん時は痛くなかったとやもん…、』
「それでも怪我しているなら言え。
こっちが心配になる。」
ため息を吐きながら言うヅラ
『…………助けてくれたとはありがと。
でも、うち行かんばけん。』
さっきスマホを見たとき
何件もの不在着信が入っていた
あのときは急ぎだったからスルーしたけど
今思ったらそれだけ心配してくれていたんだろう
自意識過剰かもしれないけど
心配してくれているなら
今すぐにでも顔を見せるべきだと思う
うちやったらそれが一番安心する
身体を起こして立ち上がろとする
しかし、ヅラに止められてしまう
「今言ったばかりだろ!
お前は昔から無茶しすぎだ!
あの時だって、本当は連れて行きたくなかった……」
″あの時″とは多分攘夷戦争のことだろう
最初うちも戦争に参加すると言ったときは
全員に止められた
まぁ、そのあと色々話して
″司令官″として参加するのだけど
『ヅラはホントに心配性やなぁ』
「…………………けだ。」
『え?』
「いや、なんでもない。
不本意だが、連絡くらいはしとけ。
連絡したらゆっくり休め。」
そう言ってポンポンと頭を撫でられる
『え、ちょ、』
「俺は一旦部屋を出る。
帰るときになったら呼んでくれ。」
『ちょ待って、ヅ』
パタンッ
…………なんだったんだ、一体。
「俺が心配するのはお前だけ…なんて言えないな。」
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作者名:睡眠足りない布団好き女子 | 作成日時:2021年2月7日 21時