八眠り目。 ページ8
「ともかくだ小僧」と国木田さんが場を仕切り直す。
「貴様も今日から探偵社が一隅。ゆえに迷惑を振りまき社の看板を汚す真似はするな」
この人は、探偵社に誇りを持っているのだろう、と思った。
その話を、僕の隣に座る少女は嬉しそうに聞いている。
さっきまでの太宰さんに向けられてた敵意はどこへやら、という感じだった。
……にしても、本当にこの娘と太宰さんはどんな関係なんだろうか。
太宰さんによく似たその横顔を見つめていると、僕の視線に気づいたようで、こちらを向いた。
「ふふふ、ちゃんとした自己紹介をしていませんでしたね」
少女らしいあどけなさが残る笑顔を向けられる。
一見、何の変哲もない普通の少女だ。
こんな物騒な人たちと一緒にいるとは思えない。
その子の声を聞いて、さっきまで爆弾魔であった青年が口を開く。
「ああ、そうだったね。
改めて自己紹介すると……ボクは谷崎。探偵社で手代みたいな事をやってます」
「そンでこっちが」と彼の隣に座る制服姿の女性を指さす。
「妹のナオミですわ」
勢いよく抱きつかれた谷崎さんは「いてっ」と声を挙げた。
い、妹？
「兄様のことなら……何でも知ってますの」
妖しい目を谷崎さんに投げかける彼女は、あまり谷崎さんに似ていない。
「き＿＿兄弟ですか？本当に？」
「あらお疑い？
勿論どこまでも血の繋がった実の兄弟でしてよ……？
このアタリの躯つきなんてホントにそッくりで……
ねぇ兄様？」
谷崎さんの服の下をまさぐりながら言うナオミさん。
「いやでも……」
と口を出そうとすると、国木田さんが僕の肩に手を置いて窘めた。
『こいつらに関して深く追求するな』
そんな意思を汲み取った僕は、『あ、はい』と念を送っておいた。
視界の隅で、太宰さん似の少女は幸せそうに笑っていた。
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まっちゃ - すごく面白いです！更新待っています (2021年8月17日 14時) (
レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
すい - はじめまして。つい、一気に読みきってしまいました。 素敵な作品をありがとうございます！！ (2020年8月10日 20時) (レス) id: 00923fd203 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - キタさん» お気遣いの言葉、ありがとうございます。作者は受験生の身ということもあり、春までは超不定期更新が続くと思いますが、少しずつ更新して行きたいと思っております。コメントありがとうございました (2016年11月4日 4時) (レス) id: 5a4cb24d14 (このIDを非表示/違反報告)
キタ - 続き、待ってます！あ、でも無理はしないで頂きたいです……(汗 (2016年8月7日 17時) (レス) id: 8f0d08bbdf (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - キタさん» まじですか……光栄すぎて言葉出ねぇです……夢主ちゃんについても、これから明らかになっていく予定ですので、どうぞ生温かい目で見守りください。コメントありがとうございました (2016年7月11日 2時) (レス) id: 851c864111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水団子 | 作成日時：2016年5月15日 5時
