【ωrωrd!】知り合いがヤンデレで攻略対象とかキツいわ

狭隘な海に ページ9

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もう限界だった。鬱という男は私をギチギチに束縛する。
最初はかわいらしい嫉妬だったのに、今では家から出られなくなってしまった。一体閉じ込められてどれくらいの月日が経っただろう。
昼間は一人で過ごし、夜は鬱と過ごす。
長い一人の時間ももう終わる。鬱が帰ってきたのだ。
今日こそは別れを告げよう。そう決意して玄関へ向かう。

『おかえり』
『ただいまあ』

疲れたような表情をしている鬱に今言うことではないのは解っているが、早めに解決したいのだ。

『あのね鬱、話があるんだけど……』

→「別れよう」
→「たまには外に出たいな」

______

なるほど。馬鹿正直に別れを告げるか、外に出て逃げ出すかの二択だろうか。そうとなれば簡単だ。

「外出一択だろ」

ヤンデレに別れなんて告げたら命はない。
下を選択すると話が再開する。

『なんでなん？』
『ずっと家にいるのつまらないし……だめかな』

再現度の高さに評判のあるチーノが作ったのだ。私はこんなあざとい言い方はしないが、あの状況下ならかわいらしく媚びれば了承されるだろうと考えてこんな感じになる気がする。よく解っているな。

『Aはずっとここにいて、俺におかえりって言ってくれればええねん』
『でも……』

「また私の人権ないやつじゃん」
「ヤンデレって割とそんなもんちゃうん」
「まあ……」

残念ながら否定できない。私の好きなヤンデレってとにかく気持ちの一方通行だから……。
言い淀むゲーム内の私に、鬱が探りを入れ始める。

『なんや、外に出るとAにとって何か良いことでもあるんか』
『そういうわけじゃなくて、外の空気を吸いたいなって！』
『窓開ければええよ』

「違う、そうじゃない」
「無慈悲始まったやん」
「そこで無慈悲は要らんのじゃ」

窓から逃げられるなら逃げたいが、モノローグで到底飛び降りられる高さではないことは分かっている。
ちなみに再び選択肢が出てきたが、粘るか別れを告げるかの二択だ。まだ粘るぞ。

『鬱とデートしたくてさ。たまには外に出るのもありでしょ？』

「やっぱチーノが作っただけあるわ。このA、嘘がうまい」
「私こんな臨機応変に嘘つけん」
「人狼弱いもんな」

それこそ、嘘がつけなさすぎて初日吊りされたことがあるくらいには嘘が下手くそだ。
尖っているころは詐欺師だなんて呼ばれていた鬱に、私の嘘が通じるとは思えない。

＊→←やがて見えなくなる

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