星々の輝き、祈り。10【学園アリス】 (ページ16)

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456・中等部編お正月ページ16

アリス学園三校の特色として、初等部は物考えぬ無鉄砲集団。

中等部は群れたがりのゴシップの温床。そして高等部は徹底した秘密主義の個人主義。

「姫さま」

その噂好きの中等部にて、ここ２〜３年まことしやかに囁かれる、あまたの噂の１つに“中等部校長の怪”。

「宴の手配の方は滞りなく………」

年齢不詳は言わずもがな、世が世なら尊き身分の方だとか。

“お気に入りの女の子は、お人形代わりに愛でられる”とか。

「そう…それは、楽しみだこと…」

中でも一番のお気に入りの女の子は、誰にも見られないよう日も当たらない座敷の奥に閉じ込めて一生そこから出してあげない、とか…

「今年こそ…紅華の君を……」

そして、その校長の秘密を見た者は二度と、中等部の闇から抜け出す事ができなくなるとか…

──謹賀新年、元旦。

皆さん、新年明けましておめでとうございます。アリス学園はお正月を迎えました。

「わ──っ、かわい───っっ」

「ありがと〜♪」

「“孫にも衣装”だね──」

「“馬子にも”、だろ。まあ、ワザトなんだろうけどさ…一応な…」

「みんなもかっこい──！」

「うんっ、とっても素敵っ」

あたし達は、学園から支給された着物をタカハシさんに着つけてもらいました。

新年１日目は、食堂室と談話室で皆と一緒に、ゆったりのんびりおせち三昧です。

「良かったね…蜜柑ちゅん」

「いっぱい食べな…」

「うん…っ」

「えび──」

「くり──きんと──ん」

お節料理を取り囲んで喋りながら、皆で楽しんでいる。お正月ばかりはいつもの星階級別食事制度がないから、差別のない食事に涙を流して喜ぶ蜜柑と委員長。

その隣では蛍と心読みくんが物凄い早さでおせち料理を取っていく。

「いいの…もらえるだけでも、うれしいもん…人は人！ウチはウチ！」

けど、支給されるお年玉はしっかりと階級別なのです。

スペシャルの棗くんは６万円、トリプルの委員長と蛍と流架とあたしは３万円、ダブルのスミレは１万５千円、シングルの皆は６千となっている。

「遅ればせながら、みなさん今年もよろしく──！！」

おせち料理を食べ終えて、各自でコマや書初め大会などお正月の遊びをして盛り上がってる。

「ところで☆、知ってるかい？今日が一体、何の日か」

お馴染みのメンバーでかるたをしていたら、札を読んでいた蜜柑がニコニコと笑ってそう言った。