足掻くも無駄だと考えられぬ ページ40
冒険家視点
どうやら彼女は逃げられたらしい。長距離ワープを受け取り、ゲート前で待つ。
するとフィオナさんから手を貸してのメッセージが。なるほど。もしかしたら、ハンターがこちらに向かってきているのかもしれない。
素直にゲートを潜り、彼女に近づく。
「やあ、大丈夫かい？」
「ええ、私は大丈夫です」
軽く受け答えをしながら手当をする。
数秒後くらいだろうかワープが消えた。そして同時に響く銃声は案外近く。
「フィオナさん！ここは危ない！早くほかの場所へ……」
「いえ、これでいいのです。全て計画通りなんですよ」
「え、それはどういうｰｰ」
言い切る前に2度目の銃声が響き、体に衝撃がはしる。
それが自分が撃たれたのだと気づくのに数秒かかった。
我武者羅に走る。訳が分からなかった。この状況はなんだ？僕達は情報を持ち帰るのが目的な筈だ。なのになぜ、彼女は計画通りなんて。
とりあえず逃げなければ。このままではまずい。
まだ出したい本があるのに！やりたいことがあるのに！
「どうして！どうしてこんなことになるんだ！！」
3度目の銃声と共に視界が傾く。
どうやら鬼ごっこに負けたのは僕の方なようで。焼けるような熱さが灯る箇所を摩り、確認する。
どうやらわきばらをやられたらしい。変に冷静な頭は痛みを強く示してくる。頭上に被る影はまるで怪物のような形をしていた。
ああなるほど。彼は人の皮を被った化け物だったのか。
「……ご協力感謝するよ。冒険家」
……
「助かった。礼を言う。」
振り返り、今回協力してくれた存在に礼を言う。
彼女は薄く笑ったまま一礼し、近くのハッチから脱出した。
俺はふと冒険家の本を手に取る。
パラパラと紙を捲ると、そこには様々な国の意気揚々とした実話が書き綴られていた。いや、実際は話をもっているらしいが。
美しい風景をまるで目の前にあるかのように書き出された項目に目が止まる。
『流れ落ちる滝の下には美しい湖があり、魚が泳いでいるのを見ることが出来るほど透き通っている。湖の周りの植物達は皆陽の光を浴びて幻想的な風景を作り出していた。』
……そんな風景を1度見てみたいものだ。そしてこれを書いた彼にもっと話を聞きたかった。
冒険家の本を持ち、館に帰る。持ち主は死んだのだから持ち帰ってもいいだろう。
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ゼロ(プロフ) - なんかクトゥルフ？とかわからないけど読んでみたら面白かったです！ (2020年6月21日 23時) (
レス) id: c3efaf6a5b (このIDを非表示/違反報告)
外国製烏(プロフ) - 月さん» ありがとうございます！光栄です！ (2019年6月1日 13時) (レス) id: 19489dbd8a (このIDを非表示/違反報告)
月 - 面白いですね！ (2019年5月31日 19時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：外国製烏 | 作成日時：2019年5月24日 18時
