勝利なんぞ夢のまた夢 ページ39
5つの暗号機を回し終わったという合図がフィールド全体に響き渡る。
だが、まだ終わりではない。 今回は瞬間移動をつけてきたのだ。 勝利の線はまだ切れちゃいない。
必ず全員覚醒世界に送り返してやろう。
瞬間移動の呪文を唱え、船とは反対の暗号機へと飛ぶ。 するとそこには冒険家と祭祀がいた。 どうやら2人で逃げた方が安全だと判断したらしい。
厄介な祭祀から追いかけるとしよう。 奴のワープゲートは俺の銃弾も届かない。 幾ら足が早いからと言って、チェイスが長引くのは間違いないだろう。
冒険家はどうやら反対側に走っていったようだ。 当たればラッキー程度に走りゆく背中を狙って銃を打ってみるが、当然あたらなかった。
祭祀は小屋近くでチェイスをするつもりらしい。 随分と厄介な所に逃げ込まれてしまったとついため息をつきそうになる。
まずは相手の行動パターンを見切らなければならない。 そう、例えばワープゲートを作る瞬間とか。
それから5回ぐらい小屋の周りでぐるぐるした頃だろうか。 祭祀の行動パターンが読めてきて、6回目でやっと仕留めることが出来た。
だが随分と時間を稼がれてしまった。 冒険家ももうゲートを開け終えている頃だろう。
「随分と手間取っていましたね」
「……君は逃げるのがうますぎる」
くすくすと楽しそうに笑う彼女がこちらを見上げる。 その顔は表情が読み取れない。 ただ愉悦の表情だけはありありと示されていた。
「ねえ、何故貴方は皆を喰って回っておられるのですか？」
「は？それはーー」
「まって、私にあてさせてくださりませんか？」
「もしかして貴方は皆のことを覚醒世界に返そうとしているんじゃないですか？」
三日月形に弧をかいた目が思考を読んでくる。至極楽しそうにしかし静かに笑う彼女を見て冷や汗が垂れる。もしかして、彼女はこの世界の全てを知っているのか？
いや、そもそも彼女は本当に覚醒世界の人間なのか？
「まさか、お前ドリームランドの人間か」
「正解でございます無形の落とし子様。私はこちらに住まう人ならざるもの。私を追いかけたのは愚策でしたね？」
その言葉にアイマスクの下で眉をひそめ、盛大に舌打ちをする。
今回は俺の負けだ。ドリームランドの住人を殺すのは、今回の作戦に1ミリも関係ない。
自己回復したのだろう。目の前で祭祀が立ち上がる。
「皆に伝えるのか」
「……大丈夫ですよ。全ては神の仰せのままに、ですから。」
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ゼロ(プロフ) - なんかクトゥルフ？とかわからないけど読んでみたら面白かったです！ (2020年6月21日 23時) (
レス) id: c3efaf6a5b (このIDを非表示/違反報告)
外国製烏(プロフ) - 月さん» ありがとうございます！光栄です！ (2019年6月1日 13時) (レス) id: 19489dbd8a (このIDを非表示/違反報告)
月 - 面白いですね！ (2019年5月31日 19時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：外国製烏 | 作成日時：2019年5月24日 18時
