45話 殺しの匂い（2） ページ43
ASide
俺たちは作戦を練った。
A『近接戦が得意な杉元が二瓶の相手をしろ』
杉元「え！？・・・俺？」
白石が俺を見つめる。
A『白石は先頭に向いてないと思うし俺は接近戦が苦手なんだ』
『援護射撃しか出来ない』
それに・・・。
何だか、頭痛と目眩がし始めている。
恐らく昨日の風邪が悪化してるんだ。
白石「おれは？」
A『お前は本物の二瓶か見分けろ。それ以外じゃ使えそうにもないし』
杉元「だな」
白石「クーン・・・・」
小さく鳴いた白石を無視して俺と杉元は作戦に入った。
ーー
杉元が二瓶の背後に立ち銃口を向けた。
杉元「銃をこっちに投げろ」
二瓶「・・・フン。どうりでなかなか狼が出て来なかったわけだ。そんなに殺気を撒き散らかされては木化けも無意味だな」
「ケチな物取りじゃなさそうだな？」
杉元が二瓶の質問には答えずに声を上げた。
杉元「こいつで間違いはないか？」
白石「間違いねぇ。そいつが二瓶鉄造だ！！」
白石が二瓶を睨みつける。
二瓶「・・・あれは白石か？」
「なるほど。目当ては俺の体の入れ墨か。
松崎はいないのか？」
杉元が二瓶の言葉を無視した。
杉元「その単発銃・・・離さんつもりか？
弾薬盒からタマを取り出しボルトを引いて装填するあいだに俺は五発すべておまえにブチ込める」
二瓶「勝負するかね？
どちらがこの山で生き残るか」
杉元「俺は不死身だぜ」
何かが杉元に近づいていく気がして銃を構えるが・・・。
A『ッゔ』
吐き気が込み上げてきて俺は銃を下げた。
白石「松崎！？」
白石が俺の背を擦る。
二瓶「でかしたぞ駄犬」
・・・マズイ！！
二瓶が振り下ろした刃物を杉元が食い止めた。
そして、流石と言わんばかりの反撃を開始する。
二瓶が銃身で杉元の頭を殴りつけた。
二瓶「獣の糞になる覚悟は出来ているんだろうな？」
杉元の真っ赤な血が地面を染める。
吐き気を抑えて再び銃を構える。
A『伏せろッ！！一等卒』
杉元が俺の一声で体を伏せる。
二瓶の胴ががら空きになった。
銃弾が二瓶の腹を突き破る。
二瓶「松崎か・・・出てこい！！お前も獣の糞にしてやる」
杉元「白石ッ！！なにやってる早く銃を拾えッ」
白石「そいつをよこすんだ！！」
リュウ「ガウッ ガウウウッ」
白石は二瓶が連れていたアイヌ犬と銃の奪い合いをしている。
A『チ・・・』
軍刀を片手に俺は走って二瓶に突っ込んだ。
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2020年9月27日 22時
