25話 説教(2) ページ34
ASide
・・・なにしてんの?コイツ。
A『あのさ・・・邪魔しに来たわけ?』
アンケシ「兵士二人がAを追いに―――知らせに来たんだ」
は?
A『馬鹿だろ。あんた』
アンケシさんが「え」と声を洩らす。
A『追手が来たからってアンタ。俺のもとに走ってきたわけ?』
アンケシ「あぁ・・・どうしてバカって言われなきゃいけない?」
アンケシさんが眉をひそめる。
A『アンタが俺のもとに来たらアシリパは?』
アンケシ「・・・あ」
A『アシリパは誰が守るんだ。刺青人皮をとられたらどうするつもりだ』
アンケシさんが言葉を濁す。
アンケシ「でも・・・Aは・・・」
A『俺と杉元で何とかするって言った。
なのに・・・アンタがアシリパを放っておいてこっちに来てしまえばアンタとアシリパに刺青をわざわざ持たせて避難させた意味がねぇだろうが』
アンケシさんが俺を睨みつけた。
アンケシ「でも・・・アシリパは賢いから・・・それにAの為を思って私は・・・」
A『アンタ。ロクに狩りをしたこと無いだろ』
アンケシ「・・・は?」
アンケシさんが羽織っている虎の毛皮を掴み後ろに投げる。
アンケシ「ッ!?」
A『追跡されてたってことに気づけ鈍感』
アンケシ「・・・!」
アンケシさんの後を追ってきたのか兵士二人足から血を流して走ってきている。
アイツらは・・・俺の部下か。
A『あのなぁ。アンケシさん』
アンケシ「・・・これは・・・その」
銃を構え二人に向ける。
A『よく覚えておけ。ひとつでも判断を見誤ると余計な死人が出るんだ』
『アンタのその弓もマキリもタシロも遊びで持ち歩いているのかよ』
引き金を素早く引く。
兵士二人の頭から真っ赤な鮮血が溢れ、真っ白な地面を染めた。
A『アンケシさんは考えが甘い。
次のこと先のことを考えていない。だから失敗する。空回り』
『杉元や俺に余計な手間を掛けさせる気だったの?それなら成功だな』
アンケシ「・・・・ッ〜」
何も言い返せずにアンケシさんは唇を噛み締めた。
A『ガキは大人の言うことを聞いておけば良い。黙って従え』
アンケシ「・・・たしかに今のは私が悪かった。でも私は・・・私だって守りたかった」
A『ちゃんと力をつけてから言え。何も出来ないうちはただの足手まといだ』
アンケシさんは俯き、「ごめん」と小さな声で呟いた。
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年9月19日 20時