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214話 危篤(1) ページ13

エノノカ「ニヴフに【ばけもの川】っていうお話がある・・・」

杉元「え?やだ怖い話?」

エノノカがウンと頷く。


エノノカ「むかし男がばけもの川で魚とって焼いてた」

  「遠くで人の声がして足音近づいてきた」

  「だから男は服を全部脱いだ」

杉元「なんでだよ!」

アンケシ「化け物が出る川だったからだ」

アンケシさんがそう呟く。

エノノカ「男は焚き火のスミでお尻に大きな目を描いた」

  「男は化け物の来る方にお尻向けて股の間から見ていた」

杉元「それホントにご近所の人だったらどうすんだよ」

エノノカ「化け物が来るとその大きな目を見て怖がって近づけなくて逃げていった」

  「こうしてばけもの川に化物がもう来なくなったというお話・・・」

チカパシ「こわい・・・」


杉元がアシリパとアンケシさんに「ニヴフがなぜそんな変な話を残したのか」。
「この話の教訓とはなにか」と問いかける。


アンケシさんが答えた。

アンケシ「【悪いことをするやつは・・・自分を見られるのが怖い】」

A『・・・・・・』

思わず、百を見てしまった。


お前は、怖いのか?


なんて、聞けるわけねえが。


アシリパ「杉元か松崎。お尻出せ!」

杉元「え?」

A『断る』

杉元「はい。アシリパさん」

俺が断ったので杉元が代わりにケツを出すことになった。

アシリパ「シライシを驚かそう」

アシリパがそういって杉元のケツに大きな目を描いた。


アンケシ「白石が戻ってきたッ」

アンケシさんが楽しそうに囁く。


が、


アシリパ「あ・・・・・かぶった」

白石も同じ格好をして立っていた。


ーー
夜。

皆が寝静まる頃。


俺は百の寝台に腰掛け様子を見ていた。


A『俺は生きてたぜ。百』

  『お前なんかに殺されたりしねえよ』

  『・・・勇作殿よりは頑丈だからな』


百の額に手を置く。

冷たい。

すごく、冷たかった。


A『毒矢が刺さったとき。お前笑ったんだってな』

  『つくづく気味の悪い男だな。お前は』

外套を脱いで、百にかぶせる。

これで少しは暖かくなるだろう。

A『俺とお前はもう家族じゃない。
わかってんな?百』

  『俺は・・・・お前を殺すぞ』

  『アシリパのせいで死ぬくらいなら俺の手で殺ってやる』


アシリパも、アンケシさんも。


A『あの子達を人殺しにはさせねえ』

  『この世にいていけないのは悪人のみだ』

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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます!訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います!そちらの方で頑張ります! (2022年1月8日 19時) (レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2021年1月18日 21時

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