213話 契約更新(2) ページ12
杉元はそんな二人を宥めるように優しい口調で言う。
杉元「お婆ちゃんに会って安心させるくらいのことは大丈夫だろ」
「たしかに・・・刺青人皮の暗号を解くまで監視は厳しいだろうけどな」
「でも奴らにとってアシリパさんとアンケシさんが必要なのはそこだけだ」
「土方歳三たちよりはマシさ」
杉元が俺を見つめ、問いかける。
杉元「Aの扱いがどうなるのか分からんけどさ。きっと何とかなるよな」
A『俺よりもアシリパたちのほうが大変ではあるよ』
杉元「・・・・まあ、ね」
アンケシさんが口を開いた。
アンケシ「どうして?ウイルクニシパは土方歳三と協力させるために私達に金塊を託したのでは?」
アシリパ「あのときアチャたちから何か聞いたか?」
ウイルクとイソンノアシは揃いも揃って同じことを言っていた。
【娘を戦えるように育てた】と。
俺は・・・。
A『いや何も・・・』
杉元「何も聞かなかったよ」
俺と杉元は、そのことを伏せた。
アシリパ「金塊を見つけることで誰がアイヌを殺したのか」
アンケシ「アチャたちの身に何が起こったのか。まだ埋まっていない空白が埋められるかもしれない」
アシリパ「杉元と松崎はどうするんだ?
鶴見中尉に協力して刺青人皮を集めるのか?」
杉元が頷いた。
杉元「まあな。俺は鶴見中尉たちに協力する代わりに金塊の分け前を要求してる」
A『俺は・・・まあ、死刑の保留っていうか・・・なんというか』
アシリパとアンケシさんが「は?」と言う顔で俺を見てきた。
気まずいので、目を逸らす。
杉元「網走監獄であの夜なにが起こったのか。
アシリパさんとアンケシさんにもう一度会って伝えるにはそれしか思いつかなかった」
アシリパとアンケシさんが俺と杉元を見つめる。
A『従うつもりはねえけど刺青人皮を全部取られたし』
『現状で一番金塊に近いのは鶴見中尉だけまずは金塊を見つけてやるさ』
『な?杉元』
杉元が頷く。
アシリパがそれを見て、俺達に確認するように問いかけた。
アシリパ「じゃあまだ道は同じだな。
私たち・・・」
杉元「そうだな」
「相棒の契約更新だ」
アシリパが安心したように微笑む。
A『もう暫くの間。宜しくだな』
やっと全部思い出した。
これから、だ。
金塊を見つけてすべてを終わらせる。
アシリパとアンケシさんをこの金塊争奪戦から解放するんだ。
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます!訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います!そちらの方で頑張ります! (2022年1月8日 19時) (レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2021年1月18日 21時