213話 契約更新（1） ページ11
亜港監獄近辺ニヴフ民族の集落。
俺達はそこで体を休ませることにした。
アンケシ「樺太アイヌとニヴフの冬の家は似てて穴を掘って土で作る」
アシﾘパ「ニヴフの服はウイルタと似てるな」
「わたしたちはちょっと違ってちょっと似ている」
「北海道にいたら知らなかった」
アンケシさんが微笑みながら呟いた。
アンケシ「わたしも北海道に行って初めて知ったことが多い」
「やっぱり。自分の目で見て学ぶってことは大切だな」
ーー
百や月島軍曹を寝かせるため、ニヴフの家にお邪魔した。
谷垣「どうして尾形はキロランケと組んでいたのか。この男が少数民族の独立に共感するとはおもえないが」
鯉登「本当に純粋に金塊が欲しいだけなんだろうか」
杉元「そうであって欲しいね。気兼ねなく殺せる」
月島軍曹はスヴェトラーナに燈台の夫婦の話をしている。
一方の百は。
包帯を巻かれた百は浅い息を吐いては吸っていた。
アンケシさんが百が寝ている寝台に腰掛け、額に手を置いたり、汗を拭いてやったりと面倒を見ている。
A『・・・交代する』
アンケシ「うん。ありがとう。でも大丈夫」
杉元から、何が起きたのか聞いた。
アシﾘパが誤って百の目に毒矢を射貫いてしまったと。
杉元はアシﾘパの手で百を殺したくなかったから、目を抉って助けたと言っていた。
A『バチが当たったんだな。お前』
『ははッ・・・ざまあみろ』
百は俺の嫌味に何も答えない。
アンケシ「・・・生きてて良かったな。
A」
A『これではまともに獲物を獲ることも出来ない』
『生き地獄・・・・・それならいっそのこと』
腰にある軍刀に手を添え、俺は百を見下ろした。
A『弟の手で殺られるのなら・・・本望か？』
アンケシ「・・・・・・A」
アンケシさんが眉を伏せ、俺を見つめた。
A『ははッ。冗談だよ』
『俺ちょっと外の空気吸ってくるわ』
杉元「俺も行く」
アシﾘパ「・・・わたしも」
ーー
杉元が外に出ると、ポツリと呟いた。
杉元「アシﾘパさんとアンケシさんもお婆ちゃんに元気な姿を見せなきゃな」
アシﾘパ「鶴見中尉は許さないんじゃないのか？」
アンケシ「私とアシﾘパがコタンに戻るのは」
アシﾘパとアンケシさんは俺と杉元が第七師団と手を組んだことを不安に思っているようだ。
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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます！訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います！そちらの方で頑張ります！ (2022年1月8日 19時) (
レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2021年1月18日 21時
