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208話 罪穢れ(1) ページ2

アンケシSide
百は私達に言った。

尾形「ここまで命をはって戦った分の報酬が欲しいだけだ」

  「白石や・・・杉元にAと同じようにな」

アシリパが私をチラリと見た。

悪いが、目は合わせないようにした。

尾形「国をつくれるほどのカネなんて俺はいらん」

  「独り占めしたところでのんびり暮らせるどころか自分が新たな争奪戦の中心になりかねん」

  「暗号の解き方さえ教えてくれればアシリパもアンケシもこの殺し合いから【上がり】だ」

・・・殺し合いから。

もう、誰かが死ぬところを見ないで済むのか?


尾形「コタンに帰って婆ちゃんに元気な姿を見せてやれ」

  「故郷の山で鹿を獲って自由に生きていけばいい」

  「そうだろアシリパ・・・アンケシ・・・!!」


故郷に帰って自由に?

私は・・・アシリパがそうしたいなら、、。


尾形「アイヌのことはキロランケやソフィアに任せたらいい。お前たちがそんな重荷を背負うことはない」

  「教えてくれ。アシリパ アンケシ」

アシリパの手が、私の手を掴んだ。

・・・百がこんなに親切だとかえって怪しい。


今更、私だけ上がりにはできない。


アンケシ「じゃあどうしてキロランケニシパから離れたところで聞き出そうとするんだ?」

思いついた精一杯の言葉を百に呟く。

百の眉が一瞬、ピクリと動いた。


直後、銃声が響く。

百が双眼鏡を使い、覗き込んだ。

そして、何を見たのか銃のボルトを下げた。


アシリパ「追っ手か?」

百は何も答えない。


ソフィアやキロランケニシパが私達を探している。

アンケシ「ソフィアたちが心配してる。
戻らないと」

私はアシリパの手を強く引いた。


なんとなく、今百と一緒にいるのはまずい気がした。


尾形「網走監獄で杉元とのっぺら坊が撃たれたとき。キロランケがどこかに合図していた」

  「アンケシ・・・Aとイソンノアシを殺ったのが誰か・・・おまえはその目で見たはずだ」


・・・・・え?


私は思わず百の方を振り返ってしまった。


百の手が、アシリパを掴んだ。


尾形「来いアシリパ。アンケシ」

  「急げ」


Aとアチャを殺ったのはキロランケニシパ?


・・・・・・何が、あったっけ。


心臓が波打つ。


『【アンケシさんッ】』


そうだ、あのとき、私は最後にAの声を聞いた。

気がついたらAが私を抱きかかえていて、

視線の先でキロランケニシパが顔を背けていた。

208話 罪穢れ(2)→←登場人物紹介



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白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます!訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います!そちらの方で頑張ります! (2022年1月8日 19時) (レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2021年1月18日 21時

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